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小学生の時、1日の中で少しでもピアノに触れていたくて休み時間は1人で音楽室に篭っていた。

2つに分かれた校舎の内の、移動教室が無ければ寄りつかない方に音楽室はあって、日当たりが良くて春や秋は心地よい風が流れてくるからお気に入りの部屋だったのを覚えている。



たしか5年生の夏休みが終わった後だ。
可愛い弟分が出来たのは。

その日もいつもと同じ様に音楽室でピアノを弾いている最中に可愛らしい顔の小柄な男の子が音色を辿って音楽室へやって来たのがジソンイとの出会い。




「1年生かな?」



私よりも背の低い彼に目線を合わせて尋ねると戸惑いながらも小さく頷いた。

モジモジした彼の目線はピアノと私の顔を行ったり来たりして、何か言いたいみたいだけど言葉はなかなか出てこない。



「私はユキって言うの、5年生。あなたは?」

「ジソン…、ハンジソンです」

「ジソンくんは外で遊ばないの?」


1年生なら今頃仲のいい友達を作って外で遊んだり、教室で過ごしている筈でしょう。

でもジソンイの反応を見た私は野暮な事を聞いてしまったかもしれないとすぐ後悔した。




「私いつもここでピアノを弾いているから、いつでも来ていいよ」

「本当ですか?」

「本当よ。ジソンくんは好きな曲はある?
私も知ってる曲なら聞かせてあげる」




友達と遊ばない彼を少し不憫に思って何か出来る事は無いかという軽い気持ちで言ったのだけど、ジソンイは余程嬉しかったのか毎日休み時間には音楽室へ顔を出すようになった。




「ユキヌナ!今日もこれ弾いてください!」

「またそれ?もうそれ飽きたよ」

「明日は別のにするからお願い!ね?いいでしょう?」



得意技の上目遣いと愛嬌で、結局その日以降もその曲を弾き続けたような。

この可愛い弟分とまさか何年もの付き合いになるなんてこの時はまだ思ってなかったよ。

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作者名:ばみ x他1人 | 作成日時:2023年10月25日 5時

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