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『ジソンア?急にどうしたの?』
「ヌナぁ、曲聞いたよぉ…、」
『あ、ほんと?ありがとう』
「本当に本当に凄かった…」
普段作詞をしてる癖にこういう時はありきたりな言葉しか出てこない自分が情けない。
ヌナの声を聞いたから余計に涙が止まらなくてズビズビ鼻を鳴らす俺に、電話の向こうでヌナは笑ってる。
「本当にすごいよ、動画の反応見た?
皆感動したって言ってるよ」
『…実はまだ怖くて見れてないの』
「そんなの勿体無いよ!俺がコメント読もうか?」
『いや恥ずかしいよ!明日の生放送終わったら見る』
「…生放送?特番の?ヌナ出るの??」
『うん、むしろ明日が本番だよ。ジソン達も出るよね?』
「待って知らなかった、明日ヌナに会えるの!?」
『会えると言っても…話す暇は無いと思うけど』
「だから早く寝ようよ〜」ってあくびをしながら眠そうに言うヌナにおやすみって伝えて電話を切った。
俺の頭の中は明日ヌナに会える事の楽しみが半分、動画のコメントが怖くて見れないって言っていたヌナへの心配が半分。
批判が一部だったとしても、きっとヌナの目にはついちゃうし気にするだろうな。
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ヌナは何も悪い事なんてしてないのに、どうして顔も名前も知らない人にヌナが責められないといけないの?
ヌナが1番傷付いてるのに、どうしてそんな酷い事が言えるの?
10年前、お母さんを亡くしたと報道されたヌナのSNSのアカウントにはここぞとばかりに誹謗中傷が届くようになった。
ピアノが下手だとか、高校生でコンサートなんかするからだとか、調子に乗った天罰だとかそんなこと。
ヌナを恨んでるとかヌナが気に食わないとかじゃない、自分たちの日々の鬱憤をヌナにぶつけて自分がスッキリしたいだけなんだ。
ヌナは何も責められる様な事をしてないんだから。
俺には弱っているところを見せたがらないから、ヌナの傍に居ない方がいいと思ってヌナの家には行かなかった。
でもヌナの当時の彼氏が1ヶ月ヌナを見てないって言ってたのを聞いて流石に心配になって家に行ったんだ。自分の選択に酷く後悔することも知らずにね。
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作者名:ばみ x他1人 | 作成日時:2023年10月25日 5時