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「ぬな…、何で、」
「ジソンア…、今日は練習と打ち合わせがあって」
「…俺のこと嫌いになった？」
「え？」
「俺のことはもう嫌いなの？幼稚でわがままだから？
嫌いなら嫌いって言ってよ、それならおれ、もう連絡しないから、」
「落ち着いてジソンア」
芸能界にいても不思議ではない美貌の女性は、捲し立てるハニに慌てる事無く冷静な様子だった。
…ハニの言い方からして、さっき言っていた喧嘩の相手はまさかこの人？
ていうか待って、思い出した。
確かスンミニが一昨日見せてきたピアニストのユキさんだ。
ヨンボギも「綺麗な人だね〜」と言っていて、俺もその言葉に頷いたんだ。
「どうしてそうなるの？」
「だってヌナから連絡が返ってこなくて、」
「え？ジソンイから連絡来てないよ」
「………え？」
「え？」
「いや、そんな筈…………あ、間違えて公式アカウントに送ってた…！！！」
事務所の廊下に響き渡るハニの声。
空気と化した俺にユキさんが気付いて「あの、すみませんお騒がせして…」と頭を下げられた。
「あっ、いえ。こちらこそすみません、ハニが…」
「ヌナ、昨日はごめん。返事が来なくて今回は本当に嫌われたかと…」
「ジソンイは悪くないよ。私に余裕が無くてあなたに八つ当たりしちゃっただけなの、ごめんね」
「よかったぁ………。ヒョンジニもごめん、俺が勘違いしてただけだった」
安心しきってしゃがみ込んだハニが眉を下げた顔で俺を見上げた。
「いやいいよ、良かったじゃんハナ」
「…もしかしてジソンと同じグループの方ですか？」
「えっ、あ、あぁ、ヒョンジンです」
「ヒョンジンさん、ユキと言います。
いつもジソンイがお世話になってます」
俺のこと知られてるかと思ったけど、ユキさんにそんな事を聞かれてすぐに恥ずかしくなってしまって、すごく吃ってしまった。
さっきからユキさんと決めつけていたけど、まさか本当にユキさんだったとは。
ハニが「なんか三者面談みたいでヤダ…」と呟いていた。
「私もジソンイに連絡したかったんだけど、頭を冷やしてからにしようと思って昨日はしなかったの」
「そっ、か…。ヌナ、その、大丈夫？」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」
「この後打ち合わせがあるからまたね」とハニと俺に手を振って行ってしまった。
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作者名：ばみ x他1人 | 作成日時：2023年10月25日 5時
