［２］約束 ページ3
．
「髪、長くなったね」
「そうでしょ？」
亜麻色の、ウェーブが施されている髪の毛。
ミディアム程だった髪はしっかりメンテナンスされていて艶を保ちながら伸びていた。
「ジソンア、なんだか大人っぽくなった？」
「2年も経つんだから当然だよ」
「そっかぁ」
「そういうヌナはそんなに変わらないよ」
「そう？…あ、何か頼む？」
「あ！俺のオススメがあるんだ、ヌナも食べて」
変わらないって言ったけど、多分それは俺が一方的にヌナのことを見てるから。
過去に撮った写真も俺のスマホには沢山残ってるし、
それにピアニストであるヌナは10代の時から才能ある期待の若手ピアニストとして注目されていて、更に美人だという理由でメディアにも取り上げられる機会が多い。(本人は不満に思っているみたいだけど…)
動画サイトに載っているヌナのピアノはどの動画も、世界中で俺が1番視聴してると思う。
2年間ドイツに居たのもピアニストとして活躍する為で、ドイツにいる有名な音楽家のもとで勉強すると言っていた。
「ドイツはどうだった？」
「ずっとピアノの練習してたからあんまり外は出てないんだけど、でもいつかジソンと行きたい所が出来たよ」
「俺と？」
「夕陽がすごく幻想的でね、写真撮ったけどジソンには生で見てほしいの」
向けられたスマホに写るその夕陽は、確かに綺麗だった。
当たり前だけど周りの風景も韓国では見慣れない街並みで、それだけで俺が知っている夕陽よりも綺麗に見えるんだろう。
そうか、ヌナはあっちにいる間も俺のことを考えてくれていたんだ。
その事実だけで、この2年間の俺が報われた気がした。
「いつか見に行こうよ」
「絶対ね」
「うん、約束」
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作者名：ばみ x他1人 | 作成日時：2023年10月25日 5時
