頬に星屑を詰め込んで (ページ14)

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何となく自分の体調に違和感を感じたり、何か上手くいかなかったりする時に無意識に向かってしまう場所がある。

小学生の時にヌナと学校をサボって行った隣町の大きな公園。

ヌナが家に篭っていた俺を連れ出して新しい世界を見せてくれたあの日、俺は未知なる音楽と出会ったんだ。

元々音楽は好きだったけど、偶然公園の屋外ステージでライブをしていたとあるラッパーに釘付けになった。
そらから今現在もそのラッパーを目標にしてグループのラッパーをしている。

今日は作業が行き詰まってしまって数ヶ月ぶりにその公園へとやって来た。

「…撤去？」

公園の入り口の掲示板に貼ってある大きい見出しのお知らせには今年中にこの公園を撤去した後大きな商業施設を建設予定だと書いてある。

海が見えて屋外ステージも設備されているこの立地は公園には勿体無いらしい。

もうここに来ても知らない景色があるだけなのか。

この景色にあの日の思い出を重ねることは出来なくなるのか。

ずっと頭の中に刻まれていていつでも思い出せる記憶のはずなのに、公園が無くなればその思い出すら無くなってしまう気がした。

この寂しい気持ちはどうやって紛らわせばいいの？

作業に行き詰まってぐちゃぐちゃな頭をどうにかしようとここに来たのに、これじゃあもっと作業に手がつかないよ。
もう、俺はまた悲しいラブソングを作る事になるの？

いつかヌナをコンサートに招待するつもりだけど、この調子だと情けない心情の歌ばっかり聞かせる事になっちゃうな。