[ Secret Lover ] ページ30
月が淡く輝く十五夜の夜、白い怪盗と一人の少女が向き合っていた。
怪盗は少女の頬に触れる。
「貴女の心の奥底に眠る、その美しい宝石を我が手中に収めた時、
私は……それを中森警部にも、貴女にさえもお返しする気はありません。」
少女は、じっと怪盗を見つめている。
「それでも、構いませんか。」
頬に触れた手が震えていることに気がついた少女は、自身の手を重ねる。
「最初からそのつもりです。でなきゃ、"犯罪者"にこんなこと言いませんよ。」
クスリと少女が微笑むと、怪盗は重ねられた手を口元に運び、キスを落とした。
「貴女の心、確かに頂戴しました」
手を離し、手すりに飛び乗る。
少女が近づいて見送ろうとした時、怪盗は「あぁ、忘れ物をしてしまいましたね」と言った。少女はその言葉に不思議そうに首を傾げる。
怪盗は少女の頬に口付けると、「では、また」と夜の闇に羽ばたいて行った。
少女は頬を抑えてムッとする。
「……どうせなら、唇にしてくれればいいのに」
怪盗は空を飛びながら口元を抑える。
「やべ……すっげぇ恥ずかしいことしちまった……」
兎が餅を突いた夜、2人の少年少女が赤い頬を隠すように月に顔を向けていた。
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時