「もう1回」 ページ24
あの一件から何度か予告は届いたらしいが、私の元には誰も来なかった。
いつまでも待つと言ったのは私なんだけど、やっぱり近いうちに来てくれないと不安になる。
「本当に、もうお話できないのかな」
次の予告日は、またあの少年が来るらしい。新聞の一面に、報道陣に囲まれて苦笑しながらインタビューに答えている写真がデカデカと載せられていた。
「次で、諦めるから」
自分に言って聞かせた。
この予告日に約束を立てて、来てくれなかったらもう諦める。
淡い期待を持ち続けるのは不毛だ。
私は課題を終わらせると、気持ちを落ちつけるためにお風呂に入ることにした。
*☼*―――――*☼*―――――
「こんにちは」
「あっ……」
予告日、私はまた現場に赴いてキッドキラーの彼に接触した。
「Aお姉さん……」
「メッセージカード、渡してくれた?」
私がそう言って微笑むと、コナンくんはガバッと腰を折って「ごめんなさい!」と言った。
びっくりしてしまって、「あぇ?」と間抜けな声が出てしまう。彼は顔を上げると「耳貸して」と手招きした。
「キッド凄く警戒してて、僕に中身を読ませたんだ。」
あぁ、なるほど。中身を読んでしまってごめんなさいってことね。
「良いよ、別に。伝えてくれたならそれで。」
ありがとね。と彼の頭を撫でると、疑いを含んだ瞳が私を見つめてきた。
「Aお姉さんとキッドってどんな関係なの?」
びく、と手が震える。聞かれるだろうなあとは思っていたけど、いざ聞かれるとどう反応していいのかわかんないなあ。
「コナンくんは、隣にいると気が緩む人とかいる?」
「へっ?」
「例えば……コナンくんが誰にも言えない隠し事をしてるとして、その隠し事を教えられる唯一の人、みたいな。」
私が具体的な例を出すと、彼は不思議そうな顔をして「まぁ……いるけど……」と答えた。
「それ。」
「つまり、お姉さんはキッドに秘密を打ち明けてるってこと?」
「まぁ、そんな感じ。お悩み相談してもらってるの。深入りされないから気楽に話せちゃう……みたいな。」
変かな、と笑うとコナンくんは「それがお姉さんにとって変じゃないなら、変ではないと思うよ。」と大人な回答をしてきた。本当に小一なのこの子?
「日常生活で精神的な健康が得られてないから、犯罪者の彼に頼ってしまったのかもね」
「辛いの?」
純粋なその大きな瞳が、私をじっと見つめた。
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時