1本のスポーツドリンク ページ26
今日はパフォーマーでダンスの練習。TVで披露するためにも、完璧以上に仕上げていかなきゃならない。
ステージの広さがどんなんかもまだちゃんとわかってないから、広いスタジオで練習してると少し不安になる。
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L:「じゃあ、ちょっと休憩しようか」
何回か通し、部分的な練習もした後、力也さんから休憩の呼びかけがあった。冬といえども、動いていれば暑くなる。持ってきていた水も、今飲んでいるもので最後。
買いに行ってこようかな…。
『力也さん、俺ちょっと自販機まで行ってきますね』
L:「あぁ、うん。30分までには帰ってきてね」
今は15分。自販機はすぐそこにあるし。余裕を持って行けるだろう。
スタジオを出て、自販機のある廊下まで歩いていく。
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『…あれ、健二郎さん。奇遇ですね』
自販機に辿り着いた。そこには先客がいた。
山:「お、A。練習頑張ってるか?」
そう言って大きな手で頭を撫でてくれる。不思議な安心感がある。
『めちゃ頑張ってますよ〜! 今度一緒に踊りましょうね』
山:「せやな、Ra-Ta-Ta- でも踊るか!」
いつもみたいに大きく口を開けて笑う健二郎さん。爽やかで屈託のない笑顔だなぁ、なんて思っていると、健二郎さんは俺に「何しに来たの?」と聞いた。
『飲み物が無くなっちゃったので買いに来たんです』
そう言うと、なるほどなぁ、と言って自販機の方を向く。
しばらくして「ガコンッ 」という音とともに健二郎さんがこっちを向いた。
山:「これ。あんまり甘くなくて、運動後とかにオススメのスポドリ。今踊ってんのやったらこれええで」
渡してくれたのは、最近CMでよく見かけるスポーツドリンクだった。気になってはいたものの、ここの自販機に入っているとは思わなかった。
『あ、ありがとうございます! えっと、お金…』
山:「お金なんてええよ。タダであげるわ」
そう言って先のような笑顔を見せた健二郎さん。お兄さんって呼びたくなる…。
『っありがとうございます!大事に飲みます!』
山:「そうしてやって 笑」
1本のスポーツドリンクを持って、来た道を戻る。そんな日だった。
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雑多おむらいすVII(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございます! そう言っていただけて嬉しいです! これからも頑張りたいと思いますので、宜しくお願い致します! (2019年11月16日 21時) (レス) id: 368f6167fa (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - 作品初めて読みました!最初から最後まで読みましたが続きが気になります。楽しみにしてますね! (2019年11月16日 10時) (レス) id: ac04f3e538 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雑多おむらいす | 作成日時:2019年11月6日 23時