お持ち帰り厳禁。

君を抱きしめて。 ページ10

〆．



「…………………」



「…………………」



翌日のお昼。



体育座りする私を、淳太が後ろから抱き締めている。



お互い何も話さないし、



何もしない。



昨日のことは確かにあったけど、



本当に酔ってなかったのか、



一目惚れというのは本当か、



疑ってしまう自分がいた。



好きか嫌いかなら、好き。



だけど今ここで付き合うかどうかの話になれば、私は尻込みしてしまうだろう。



「A、ありがとうな」



「へ？」



「初めてやったんやろ？」



「………っ、」



優しい声で言うから、顔が一気にあつくなる。



わかってたんだ……。



「それから、ごめん。無理やりやったし…」



「そんなの………いいよ」



首を振ると、淳太は体を離した。



「謝ったけど、でもなかったことにはせんといてほしい。Aの中に、少しでも俺がおったら幸せやし。



それに、この気持ちは嘘やない。昨日言ったこと……一目惚れってのも、ほんまやから」



真剣な顔。かっこいい。



………だけど



「ふふ、涙で目がきらきらしてる」



「泣いてへん」



「泣きそうでしょ？」



やっぱり可愛い。



「じゃあお昼ご飯作るからね、待ってて」



「……ありがと」



ふわっと微笑んだ彼。



告白の返事をはぐらかされたと思っているのかもしれない。



その通りだから何も言えないのだけれど。



〆．

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