お持ち帰り厳禁。

「いま逢いたい」ふじい ページ43

〆．



「で、望って誰なの？」



「え。なんで望のこと知ってんの」



「望って人に家追い出されたとか言ってたじゃん」



「あー…」



まさか嘘だった？



この人、自分の願望を叶えるためならどんなゲスいこともするからなぁ。



「親友。彼女できたから出てけって言われて」



「そんな言われ方して親友って言えるのすごいね」



男の友情は謎だ。



「でも、そのおかげでAと同棲できたし、感謝やな。感謝」



ポジティブだねぇ。



「で、Aはいつになったら俺のこと呼び捨てしてくれるん？」



「は」



急に変わったトークテーマ。



「さん付け、嫌なの？」



「遠い」



遠いかなぁ？



「…………流星」



「…………………待って、あかんわこれ、これだけで飯三杯いける」



「変態」



ほっぺたを摘んでやると、幸せそうにふにゃふにゃ笑う。



「やってさぁ、俺、Aのことめっちゃ好きやもん」



「顔？顔？一目惚れって言ってたもんね、顔だよね、ありがとう」



「顔も好きやけど〜」



「っ、」



流星さんのキスが、頬、おでこ、瞼、口の端……一つ一つ確かめるみたいに落ちてくる。



「Aの全部が好き。知る度に好きになってくもん。やばいで？」



「そういうこと普通に言える流星さんがやばいよ……」



「あー、流星さんに戻ってるー」



カップルって、こんなに甘いもんなの？



私の体を愛おしそうに包み込む流星。



「これから、さん付けで呼んだらちゅーな」



「わ……」



少女漫画にありそう。



「じゃあ、ちゅーしてほしい時に呼ぶね？……流星さん」



「っ！！」



頑張って、流星のこと照れさしてみる。



「はぁ………ずる」



脱力したのか、体重がのしかかってきた。



「ずるい？」



「可愛すぎんねんて」



「で、してくれないの？」



「するに決まってるやろ」



耳まで赤い彼と私、



どっちが一枚上手なんだろうね？



〆．

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