お持ち帰り厳禁。

こんな恋知りました。 ページ36

〆．



「え、照史がAのこと好きなん、知ってたで？」



後日、Aがあいつと別れて俺と付き合ったということを報告すると、こんな返事が返ってきた。



「Aの話ばっかするし」



「Aから貰った旅行土産のキーホルダー、ずっとカバンにつけとるしな？」



はまちゃんと望はニヤニヤしとって、なんやこれ、めっちゃ恥ずかしいやつやん。



ちなみに、あいつはお持ち帰りした子といい感じになったからAの提案した別れを快諾したものの、



結局ワンナイトで終わってしまってAに復縁を迫ってるらしい。



そんなん……なあ？



「A、お願いやって……やっぱ俺、Aやないとあかんねん」



「無理、私もう大事な人がいるから」



ふん、と冷たく返すAに、嬉しくなる。



ここは彼氏の出番やな。



「おいおいおいおい、人の彼女になにちょっかいかけてるんやー？」



「あ、照史、」



「今更Aの魅力に気付いたって遅いねん！残念やったな、Aはもう俺の彼女やから」



困り顔のAの肩を抱き寄せると、その顔は赤く染まる。



それが嬉しいて、ちょっと意地悪したくなったりしてな。



「ま、ちょっかいかけたなる気持ちはわかるけど？俺の未来の奥さんにはもう手ぇ出さんといてやー」



「っ、」



煽りまくりやけど、Aのこと傷つけたんやから別にええやんな。



あいつが悔しそうに去ってって、Aは俺と目を合わせてくれん。



「こっち向いてや、未来の奥さん？」



「もうっ、あっくんのばか！」



あー、どうしよ。



好きやわぁ。



「えー？そんなん言うん？ほんならもう…」



「ま、待って」



背中を向けた俺に、抱き着いてくる。



バカップル、とか言われてもええ。



ほんまにそうやからな？



俺を求める愛しい温もりに、



胸が熱くなった。



〆．

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