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「ヒョン、駅まで一緒に帰りません?」
「、俺は」
「...たまには俺と話しましょ?ずっと仕事して、煙草吸ってたらヒョン倒れちゃいますよ」
残業しようと思っていたのか、終業後の営業部にユンギヒョンのパソコンだけが明るさを保っていた。傍らのコーヒーを掴んで流し込んでいるヒョンに話しかければ、明らか疲れた表情のヒョンに苦笑が漏れる。
なんだかんだと理由をつけてヒョンを社外に連れ出すと、久しぶりに随分元気だなとヒョンが僅かに笑顔を見せた。
駅に着くまで他愛ない話をして、俺の緊張を悟られないようにする。握りしめた拳の中で、鍵がカチャリと鳴った。
そうして駅に着いて、改札を潜ろうとするヒョンを捕まえる。なんだよジミン、と顔を顰めるヒョンを引っ張ってタクシー乗り場に向かう。おい、という制止の声も聞かず止まっていたタクシーにヒョンを突っ込むと、幾らかのお金と握りしめていた鍵をヒョンに押し付けてAの家の住所を運転手に告げた。
「おいジミン」
「302号室です、この間行ったから場所分かりますよね?」
「っ...ジミ」
「最後のチャンスです、これでダメだったら俺もヒョンにAを押し付けません。全部Aにぶつけてきてください」
運転手に絶対途中で下ろさないでください、そう頼んでタクシーのドアを閉めた。
タクシーが発車するのを見送って緊張が解ける。ユンギヒョン怖すぎ...。
軽くなった足取りで改札を潜って、スマホを開く。
「.....え、」
バナーに滑り出た、助けて、のメッセージに背筋に冷たいものが流れた。
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ヒスイ(プロフ) - 桜餅.さん» ありがとうございます、オメガバースというジャンルがこの界隈にも知られていけば嬉しいなと思います。オメガバースシリーズぜひジミンさんの方も宜しくお願いします(^^) (2019年8月11日 9時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅.(プロフ) - オメガバース好きなので嬉しいです、とても感動しました。このような作品を作っていただきありがとうございます (2019年8月9日 23時) (レス) id: 444f8cfc75 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - もりぞうさん» こちらこそありがとうございます!ジミンさんのお話の方もぜひ宜しくお願いします!こちらこそ応援しております。 (2019年7月20日 17時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
もりぞう(プロフ) - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!素敵な作品をありがとうございました(^^)続編も読ませてもらってます。ジミン氏のお話が読めて嬉しいです!これからも応援しております(*^^*) (2019年7月18日 21時) (レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ(プロフ) - のさん» そう言っていただけると私もとても嬉しいです。人同士の繋がりはとても大事に書かせています。誰かの為に、逆に誰かのせいで、そういうものに世の中は呑まれているなといつも思っているからです。今後も宜しくお願いします! (2019年7月15日 20時) (レス) id: d14f85405c (このIDを非表示/違反報告)
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