〈完〉本能の領域

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この世界には、第2の性が存在する。






私は最下層のΩ、人でないと言われることも消えたいと願ったことも何度もあった。
母が傷付くのを何度も見て、どうして私はΩなのとその生さえも呪った。

ユンギさんはα、最高位の優勢遺伝子である彼は自身がαであることをひどく嫌っていた。
周りを傷つけるその特性を嫌う彼は、とても優しい人だった。






ジミンが私をβにしてくれたお陰で、ユンギさんと出逢えた。
ユンギさんは私の唯一無二で、かけがえのない人になった。
私自身がΩというものを受け入れ、ユンギさんもαというものを受け入れた。






私は一歩先に、一緒に進んだのだ。






「A、俺もう行くけど」
「支度早くないですか？」
「おい、また敬語」






玄関で私を待つユンギさんにぐっと腰を引き寄せられる。ぴったりと密着した身体が、熱を持つのが分かった。
優しくキスを落とされて、何その顔、とユンギさんが笑う。甘すぎて、溶けてしまいそう。

敬語も、毎朝のこれも、やっぱり慣れないけれど。
少しずつユンギさんに近づきたい。それだけが、今の私の気持ち。






「うわ、ラブラブすぎてやなんだけど」
「とか言って嬉しいんでしょジミン」
「ヒョン、あんまAを甘やかさないでくださいよ」
「別に甘やかしてねぇよ」






ジミンはきっと、心の中で祝福してくれてる。ジミンもユンギさんも、優しい人だから。

抗えない運命を受け入れた先の幸せに、大好きな人達と浸っているのは悪くない。






Fin.

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