〈完〉本能の領域

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『ユンギさん、ずっと返信できずごめんなさい...もし良かったらまた週末どこかに行きませんか？』






昼休みに入って適当に仕事を放ってスマホを開くと、五日ぶりにAからのメッセージが届いていた。
ニヤけそうになる口元を押さえてなんて返そうか考えながら自販機の方へ歩いていればユンギヒョン、とよく通るジミンの声が背後から聞こえてきた。

Aから連絡来ました？タイミング良すぎるその言葉に頷くとそうなんですね、良かった...と糸目を綻ばせた。
缶コーヒーを買って昨日のようにベンチに二人して座る。
ヒョン予定どうするんですか？早いうちにAと会いたいですよね？というジミンの言葉を躱そうとして、その違和感に顔を顰めた。






「...お前、なんでAが俺の事誘ったって知ってんの？」
「え"、」






なんだか今日のパクジミンは隙が多い。
Aがヒョンに会いたいって言ってたからっ、その、誘ったらって言ったんです！なんてそんな激しく弁解しないでもちゃんと聞くっていうのに。
分かった分かったとあしらえば本当ですよ！と騒がしいジミンをうるせぇよと窘める。




まぁでも感謝はしてるから。
来週の日曜なら空いてる、そうAに返して画面を落とす。
奢るから飯行くぞ、と隣で騒いでいたジミンの腕を引っ張って立たせるとヒョーン！と嬉しそうに引っ付いてくるから困ったもんだ。

奢りはするけどお前からAの匂いがすることはまだ許してねぇからな。






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