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# 恥 ページ25

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「いただきます」

「いただきまーす」


手を合わせて、スプーンで咖喱を掬う。
太宰さんが口にしたのを確認すると、私も口の中に入れた。

口の中には少し辛く、少し甘い咖喱の味が広がる。

私にしては上手く出来たのではと思い、頬を綻ばせる。
太宰さんの方に目を向ければ、ガツガツと食べ進めていて、少し驚いた。


「ん、美味しいよAさん!」

「そ、そうでしたか、それなら、良かったです」


太宰さんは咖喱を食べる時、目の奥に少し寂しそうな色を見せる。

何時ものドス黒いなにかでは無い。
寂しさや懐かしさのようなものを感じる。

守りたいという、私では到底叶わないであろう気持ちが出てくるのだ。


「…Aさん?」

「は、はいっ!どうしましたか?」

「否、私の事ずっと見てくるから」

「す、すみません」


失礼な事をしてしまった。
スプーンを置いて頭を下げる。

だが、すぐに顔を上げさせられ目を合わせる。

すると、太宰さんはパッと顔を明るくした。


「若しかして、私に見蕩れていたり?」


悪戯っぽく微笑んで、頬を指の外側で撫でられる。

触れられたそこから顔が熱くなり、手が僅かに震える。
その震えは、恐い、や、厭だ、の震えでは無い事はわかっていた。

____?


「え??」


恐いとかそういう震えじゃないなら、この震えは何?

え???


「え???」

「ん?」

「え、えッ…はッ、うッ」

「Aさん???」


嗚呼、今私はどんな顔をしているのだろうか。

見せるのも恥ずかしい。見ないで欲しい。
きっと情けない顔をしている。そんな姿見せたくない。

そう思った瞬間、両手が動き顔を隠す。


「あれぇ?どうしたんだい?」


まだ頬に触れている手が、するりと伸ばされて、包み込むように頬に触れる。

一つ一つの動作が、顔をだんだんと熱くしてゆき、もう湯気が出ているのではないかと思い始めた。


「ほ、ほんと、あの、そ、そういうの、恥ずかしくて、あの、慣れてなくて…すみません、本当に」

「謝らないの。別に悪い事では無いし。可愛らしい」

「はい!?!?」


手が頬から離れると同時に、顔を両手で隠しドンと机に額をぶつけた。
大きな音が部屋に響いたという。

太宰さんはケラケラと笑っていて、少し恨んだ。

私は何度この人を恨み、この人に感謝しているのだろう、







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gross - 面白いです… (1月8日 10時) (レス) @page37 id: 52a16cf4dd (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 面白すぎる!続きが楽しみです! (5月29日 2時) (レス) @page36 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2023年4月16日 17時) (レス) @page18 id: 71114ebb82 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 太宰さんナイスです!続きすごく気になります!頑張ってください! (2023年4月14日 23時) (レス) @page15 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - すごく素敵なお話だと思います!続き待ってます! (2023年4月12日 16時) (レス) @page6 id: ece26d42b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりがみ | 作成日時:2023年4月11日 14時

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