# 務 ページ18
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「きっ、緊張して死にそうです」
「大丈夫、大丈夫〜。ほらここの階段登るよ」
「は、はい…」
つかつかと先に進む太宰さんを追いかけて階段を上る。
太宰さんが職場に来てみなよ、と云って下さったので今向かっているが。
心臓は五月蝿く動き、手は震え、顔は熱い。
緊張しすぎて、喋るのも困難な状態だ。
俯きながら両手をぎゅっと握り合わせた時、額が、ぼふっと何かにぶつかる。
上を見てみれば、太宰さんの背中で
「す、すみません!ぶつかってしま_」
「着いたよ」
「…え?」
ふらりと振り返った太宰さんが私の背中をぐっと押して、扉の目の前に行かせる。
扉には「武装探偵社」と描かれていて、どう見てもホストではなく、探偵事務所だった。
「こ、ここですか?」
「そう、ここ。却説、中に入ろうか」
太宰さんの手によって扉は開かれ、中が見えるようになる。
中には数名人がいて、見た目は探偵社っぽさがあった。
全員の視線がこちらに向く。
その中の一人、銀髪の少年が近寄ってくる。
「えっと、依頼人の方ですか?それなら、こちらに…
って、太宰さん!?」
「やぁ、敦くん」
/
「いきなり来てしまって本当にすみません…私何かでよければ、なにか仕事します。」
「否、いい。どこの人間かも解らん小娘に仕事は任せられない」
「そうそう!だから私とここで一緒に寝_」
「太宰、貴様は仕事をしろ!!」
愉快な人達だなと思った。
私何かが居て善い場所では無い、太宰さんによく似合った素敵な場所だと。
私何かに似合わないのに、出て行けとも云わず居ることを赦して下さった。
「君、これ食べる?」
「え、?」
机を一つ挟んだ前から乗り出して「作るお菓子(お寿司屋さん)」を差し出してくる少年。
首を傾げて、受け取る。
「ありがとうございます…こ、これは、?」
「粉と水を混ぜてお寿司を作るんだよ」
「粉と水でお寿司が作れちゃうんですか!?凄いですね!」
「そりゃあ、僕は名探偵だからね!」
自慢げにそう言う名探偵さんは、きっと本当に凄い人なのだろうと感じる。
そんな凄い方が私何かと話して下さっていると思うと、頭が上がらない。
笑顔だった名探偵さんの表情が真顔になる。
何かしてしまったかもしれない。
気に触る事を云ってしまったかも。
「す、すみません、何か気に触る事を…」
「…君、何かに追われてるの?」
*
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gross - 面白いです… (1月8日 10時) (レス) @page37 id: 52a16cf4dd (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 面白すぎる!続きが楽しみです! (5月29日 2時) (レス) @page36 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2023年4月16日 17時) (レス) @page18 id: 71114ebb82 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 太宰さんナイスです!続きすごく気になります!頑張ってください! (2023年4月14日 23時) (レス) @page15 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - すごく素敵なお話だと思います!続き待ってます! (2023年4月12日 16時) (レス) @page6 id: ece26d42b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりがみ | 作成日時:2023年4月11日 14時