# 髪 ページ17
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「あ、そうだ」
お互いにお風呂からあがって一時間程、太宰さんと駄弁っていると、思い出した様に声を出した。
首を傾げ、どうしましたかと尋ねれば、ニコっとして話し始める。
「明日、私の職場に行ってみないかい」
「しょ、職場ですか!?」
太宰さんは、容姿端麗だ。
しかも、喋りも上手く、女性と話す事は得意だろう。
多分、ホストだと思う。
そんな輝いた場所に行くのは、申し訳ないが迚苦手だ。
だが、太宰さんが折角誘って下さったのに…という気持ちもあり、あ、あ、と何時かのテレビで見た
そんな私を見て、うふふ、と愉快だと云う様に笑う。
「厭かい?」
「え、えっと、その、厭という訳では無くて、」
「なら良いじゃない!」
「い、否、でも_」
「はい、決まり!明日の為に今日は早く寝よう!」
太宰さんは布団に寝っ転がり、手を広げてくる。
ので、首を傾げると、困ったように笑ってきた。
そして、太宰さんの頬が少し火照てる。
「まだ駄目か」
「、?ど、どういう、?」
何でも無いよ、と云われ戸惑いながらも布団の端に寝っ転がる。
流石に背中を向けて寝られないので、太宰さんが私に背中を向ける体制になる。
筈だったのだが。
「…あの、太宰さん」
「なんだい?」
「な、なんか、向かい合わせって、あの」
「私はこっち向きじゃないと寝られないのだよ」
「なるほど!ならば私が太宰さんの後ろに!」
と起き上がろうとすれば、肩を捕まれ布団に戻される。
「駄目。こっち向いて寝てて」
「そ、う、え、ええっ、」
「おやすみ」
焦って起き上がろうとするも、太宰さんが目を瞑って眠ってしまうので、起こす訳にもいかずその儘になる。
今思えば、今までもこうだったな。
「………」
寝られない。
/ 太宰治 /
目を瞑ってから三十分程経った時、目を開けると
「……。」
確り眠っているAさんが視界に入る。
寝顔はまるで子供のようで、可愛らしかった。
手を伸ばして頬に触れても、起きない。
頬から手を滑らせ人差し指でこめかみを撫でる。髪の毛をするりと掬って、爪で押しながら伸ばした。
手の上から落ちる前に耳後ろに掛けてやる。
「ふふ…」
自然と笑いが零れてしまう。
すると、着信音が耳に入る。震えていたのはAさんのスマホで、拾って相手を見てみると
「…!」
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gross - 面白いです… (1月8日 10時) (レス) @page37 id: 52a16cf4dd (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 面白すぎる!続きが楽しみです! (5月29日 2時) (レス) @page36 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2023年4月16日 17時) (レス) @page18 id: 71114ebb82 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 太宰さんナイスです!続きすごく気になります!頑張ってください! (2023年4月14日 23時) (レス) @page15 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - すごく素敵なお話だと思います!続き待ってます! (2023年4月12日 16時) (レス) @page6 id: ece26d42b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりがみ | 作成日時:2023年4月11日 14時