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# 起 ページ13

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「ん…」


目を覚ませばそこは、見知らぬ場所で。
上半身を起こし辺りを見渡せば、川が流れていた。周りに人はいない。

知らない場所に来た恐怖で手が震える。

ここはどこだろうか。

立ち上がろうと地面に手をつけた。
その時、右手が硬い何かに踏み潰され、地面に押し付けられるような感覚に襲われる。

息を思い切り吸い込み、ひゅ、と小さく音が鳴った。


「この愚図が!!」


背中を蹴られる。痛い。

それより、言葉が痛い。耳が痛い。頭が痛い。

恐い、恐い、恐い。
ここはどこなのか。早く帰りたい。帰りたい。

帰りたい?何処に?

私の家?それとも…?


「阿呆、馬鹿、愚図、今すぐ消えろよ!!」

「っぁ、あ…」


謝ろうと口を開くにも、息が吸えないので声が出ない。

息を吸いたくて、声を出したくて口を開けて酸素を求めるが入ってこない。
寧ろ、悪化する。


「死ね、早く!!!!」






「ごめんなさい、ッ」


謝ると同時くらいに、風景が変わる。






/








目の前には、誰かの体。
スウェットを着ていて、しっかり呼吸をしている。

だが、脳は理解が追いつかない。


「…?…、??」

「夢見が悪いかい」


優しく掠れた低い声が聞こえる。
それは太宰さんの声で、私の目の前にいるのは太宰さんだと気づく。

背中に手が回っていて、ぐっと引き寄せられた。

石鹸となにかの甘い匂いがふわりと鼻にかかる。


「…あ、れ…?」


先刻までのは夢だったのか。
手を踏まれ、蹴られる夢。どこだったかは覚えていない。どこだったのだろうか。

目の前には太宰さんがいて、ここは太宰さんの家。
そう、私は。

私は


「Aさん?」

「えっ、あっ、はい」

「まだ朝の五時だけど、寝る?」

「…おきま……………え?」


漸く気づいた。
今、私は太宰さんに抱き締められているのだと。

理解した途端、首から上へと熱が上がってゆく。

湯気が出るほどに熱く赤くなっている事だろう。


「ん、顔が赤いよ?どうしたんだい?」

「え、あ、ええ、ェェッ」


ふわりと頭を撫でられ、熱さが増す。

私は今どうなっているんだ。


「わ、わた、う、だ、だざいさん、太宰さん!!」

「太宰さんだよ〜、そんなに慌てて。何か恐い事でもあったの?」

「そ、え、あああええ」


夢の事を忘れてしまうほど、それは刺激が強くて。

愉快だと笑う太宰さんを少しだけ恨んだ。





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gross - 面白いです… (1月8日 10時) (レス) @page37 id: 52a16cf4dd (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 面白すぎる!続きが楽しみです! (5月29日 2時) (レス) @page36 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2023年4月16日 17時) (レス) @page18 id: 71114ebb82 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 太宰さんナイスです!続きすごく気になります!頑張ってください! (2023年4月14日 23時) (レス) @page15 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - すごく素敵なお話だと思います!続き待ってます! (2023年4月12日 16時) (レス) @page6 id: ece26d42b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりがみ | 作成日時:2023年4月11日 14時

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