ほんものかっぷる。 緑

.10. 大人げない ページ10

:









｢ え、ちょっとおーくまく… ｣

『 んー、ほんなら横山くんまた明日なー 』


ちらっとヨコくんの方を見ると両手を合わして申し訳なさそうな顔をしていて、

いや、ヨコくん何も悪くない。

100％小さい子相手に意地張る隣の奴が悪くって。


｢ シュンくん、今度家行くねー！ ｣

( うん！ありがとうお姉ちゃん )

｢ こちらこそ〜♥ ｣

『 もう帰るでって 』

｢ なんでそんな機嫌悪いの ｣

横 『 Aちゃん、それは聞いたらあかん(笑) 』


ヨコくんにそう言われ、シュンくんにも手を離されておーくまくんと来た道を戻る。









『 ……はぁ、大人げな(笑) 』


私の手をキュッと包み、少し前を歩くおーくまくんの小さな声が聞こえてきて、


｢ ん？ ｣

『 俺のこと今どう思った？ 』

｢ んーとね、(笑) ｣

『 うん 』

｢ 大人げないって ｣

『 ……悪かったなあほ 』

｢ で、でも！ ｣

『 なんや 』

｢ …嬉しかったです ｣

『 …え？ 』

｢ いや、その…初めて嫉妬してくれたーって ｣

『 …ちゃうねんけど 』

｢ え？ ｣

『 始めてちゃうし。嫉妬すんの 』


っておいおい。

今日のおーくまくんどうしたの？？

素直すぎない？？

ちょっと……可愛すぎない？？


｢ といやっ！！ ｣

『 重っ……お前、アイス食うなもう 』


全体重をおーくまくんの背中に預けてダイブ。


｢ おーくまくん可愛い ｣

『 …は？ 』

｢ 嫉妬してたんだ(笑) ｣

『 あー、もう言わんかったら良かった 』

｢ ……忠義 ｣

『 ……え？ 』

｢ 忠義すきーーーー！！ ｣


普段絶対に言わない言葉を今の力に乗せて。

恥ずかしいから背中に抱きついて顔を見えないようにする。


『 ……腕離して 』

｢ やーだ ｣

『 …甘えられたら調子狂うねんけど 』

｢ もう付き合って1年過ぎてるんですけど ｣

『 ……離せへんかったんおまえやからな 』

｢ ……え、は、ちょっ…… ｣


ぐいっと腕を掴まれて、あっという間におーくまくんと向き合う形に。

そしてそのまま、




ちゅっ




と可愛らしいリップ音が響く。








｢ んーーっ……待って、ここ住宅街 ｣

『 あかんの？ 』

｢ …脳みそないの？ ｣

『 あかん、お前ほんまムード壊すやつやな 』

｢ いや、こんな所でムード作ってもでしょ ｣

『 別にここでもシよう思ったらすぐ出来るやん 』

｢ ……ほんっと脳みそないね ｣


でも私は悔しいくらい

こいつがすきで、

だいすきだ。









・ ・

.11. 守りたいよ→←.09. アイス食べたい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す