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愛している人がいるのなら自由にしてあげなさいー貴女side ページ8

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あれから、何だかんだ
総悟とはやって行けている。

けれど、一つだけ気がかりなことがある



A「…退さん…」



あれからずっと、会っていない。
後に土方さんに聞いてみると

ほとんど屯所に帰らないくらい
観察の仕事に明け暮れているらしい。


そういう所、変わっていない。


仕事に没頭して忘れようとする所。



A「…喧嘩した時もそうだったなぁ」



土方さんは場所も教えてくれたので
私は今、退さんの仕事場を聞いて向かった。



A「ここかな?…退さん、居ますか?」



言われた部屋に声をかけインターホンを押す。



山「…何で」



扉が開くと、何時もよりも低い
小さな声で彼はそういった。



A「…無理してるんじゃないかって思って」


山「…入っていいですよ」



私の声を無視して発せられたその言葉に
私は躊躇いながらも部屋に入る。

あんぱんと牛乳に溢れた部屋。
部屋は違えどあの時と何も変わらない空間。



A「…ごめんなさい
危ないから無闇に来るなって言われてたのに」


山「…本当ですよ」



双眼鏡で窓の外を見ながら
一度もこちらを見ずに言った。



A「…」


山「…」



気まずさによる沈黙が苦しい。



山「…着物の間から見える包帯は…
…沖田さんですか。腕にも、脚にも巻いてる…。
…傷、前より明らかに増えてますよね…」



一瞬振り向き、退さんが言った。



A「…まぁ…その通り、総悟に…」


山「…何でそんなに傷付けられるのに
貴方は沖田さんの側に居るんですか」


A「…」



退さんは振り向かずに行った。
…声が、怒りに近かった。



A「…退さん、お仕事
落ち着いたら連絡くれませんか?」


山「…」


A「…あの時、ご飯作ると言ったのに
まだ食べてもらってないので…
よければ、ご馳走させて下さい」



それだけ言うと、返事も聞かずに

私は逃げるように部屋を後にした。

もし帰ってくればあなたのもの。→←刻まれる者、刻む者。ー貴女side



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由麻(プロフ) - Omayuさん» おっと、本編から適当に名前を入れてコピーしてきたのがバレてしまった笑名前は気づく限り直してみました!読んでいただきありがとうございます (2017年9月23日 1時) (レス) id: 56f9823bdb (このIDを非表示/違反報告)
Omayu(プロフ) - ちょくちょく夢主ちゃんのお名前が「かな」になってますよ!とても面白いです!是非他の作品も見させていただきますっ! (2017年6月27日 20時) (レス) id: fa9ac44873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:由麻 x他1人 | 作成日時:2016年5月12日 1時

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