【呪術廻戦】サヨウナラとこんにちはを今、君に。【五条悟】 (ページ10)

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「ただいま〜」

ロックを解除しドアノブに手を掛ける。がちゃりと開いた扉の先に少女の靴は無く、不審に思いながらもとりあえずはと家に上がった。

「A？」

返事は無い。静寂と虫の音だけが、この空間を占めている。

下手な外出は避けてくれと言っておいたのに、全く健康体な女子高校生の行動力というものは末恐ろしい。コートを脱ぎつつも白いダイニングテーブルの上に目を向ければ、恐らく彼女が書いたものと思しき書置きが一枚残されていた。

「少しだけ出かけてきます、ね。えーと？帰りは六時頃に、……なるほど」

Aが自分で時間を決め、六時頃までには帰ると残した。それならば僕が態々介入して連れ戻す、だなんていう束縛男じみた事はしなくたって良いだろう。あと二十分と少し待てば、少女は帰ってくるのだから。

だとしても。

「あの子を預かってるのは、僕だからなあ。何かあってからじゃ遅い」

はあ、と溜息を吐いてから脱ぎ捨てたコートを拾って、先程閉めた扉に今一度手を掛ける。
そろそろこの僕も、度重なる色々な事柄でクタクタになってしまいそうだよ。