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本来ならば十六歳の少女がどう見ても十四歳程、もしくはそれ以下の外見をしている。加えてその外見から考えても異常な程、軽い体。


これはどう考えても呪いが関係している。そこまではいいのだ。ならば祓えばいいし、対象となる呪いが深く深く彼女に住み着いているのなら解呪すればいい。どれ程解呪に時間が掛かっても、だ。


彼女が望むのなら、呪術師はそれを請け負う義務がある。弱者を救済し祓い、正しく暮らせるよう正しく死ねるよう、力を尽くすのが呪術師の……力を持つ者の宿命だといつか聞いたから。


呪いが関係していると分かった所まではいいのだけれど、それならばどうして六眼は本体を見抜かない? これまで大抵の呪いによる効果は六眼を通せば一発で見抜けたというのに。
考えられる可能性は今の所二つ程存在する。


その一。呪力を持たないナニカが存在し、彼女を呪っている。
その二。これは考えたくない上に可能性も低いが、六眼に未だ発見されていなかった『穴』がある。


一の方は『完全なる呪力からの脱却』が成されていないと不可能な話だろう。然し、これまでに完全なる脱却を成功している者が居るのも事実。視野に入れて損は無い。


とは言え彼女を呪っている時点で呪力は発生する訳で、どうしてその呪力をこの目が認識しないかはまた別の問題なのだけれど。


二は、一の仮説より何倍も見込みは無い。寧ろ零に等しいと言ったって過言では無いだろう。先祖とやらがそんなに無能だったとは、流石の僕も考えたくない。
挙げた二つの可能性、その他にあるとすれば――


「彼女自身が何かを隠してるか、だな」


まあ。あの気弱で何も出来なさそうなイカニモ女のコですといった風の少女が、僕に対して何かを隠し立て出来るとも思えないけれど。


と、その時。ガラリと空き教室の扉が開いた。


「ご、五条、っさん……はぁ……じゅ、十分以内に帰ってこれましたよね私!?」


何やら伊地知が血相を変えて教室に入ってきたではないか。そういわれてみれば、彼に対して中々無茶なオネガイをした気がしなくもない。ストップウォッチも掛けていないし、何分に伊地知が外へ出たのかも忘れてしまった。
どうしたものかと顎に手を当てて居ると、ぼっそり呟かれた負の言葉。


「五条さん一瞬で行けるんだから、自分で行けばいいのに……」


「伊地知。マジビンタ六発ね」


後日生徒から聞いた話によると、茜色差し込む校舎からは悲痛な叫び声が、何度も何度も響いたという。

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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦
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(プロフ) - こういうお話好きです...!これからも沖田妖狐さんのペースで頑張ってください!! (2022年2月12日 23時) (レス) @page19 id: ef9e4cc349 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田妖狐 | 作成日時:2022年1月10日 0時

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