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「そっちはどう？最近また忙しくなったって聞いたけど」
「まぁ…そうっすね。ゾムさんが耐えきれんくなって他部署のエミさんのところに大量のマクドのバーガーを送り付けるくらいには」
「あらら…相当ね。エーミールさんも大変そうで」
「そっちも、仕事はもう慣れたんすか」
「うーん。やっと少しずつね。やっぱり営業は性に合わないけど、そうも言ってられないでしょ」
「確かに。先輩、あんまりPRとか上手い方じゃないですもんね」
「うっ…じょ、徐々に上手くなるように頑張ってはいるつもりです…」
食券番号がモニターに表示されたため、そそくさと料理を取りに行く。やはり、ここの生姜焼き定食はいつ見ても美味しそうである。
いただきます、と一言言って2人で食べ始めれば、そういえば、とおもむろにショッピが口を開いた。
「最近辛気臭い顔してますけど、なんかありました？」
ショッピの問いに驚いて箸が止まる。彼はあまりこういった事は聞いてこない。いつも私が話の種として会話に混ぜるか、彼に相談するかのどちらかだった。
「…え？どうしたの、急に」
「チーノっすか？」
飲んだ水が気管に入ってむせた。「あ、図星なんすね」とカレーを口に入れた奴を睨めば、なんか悪いことしましたか？みたいな顔でこちらを見られた。解せぬ。
「…彼がなんか言ってたの？」
「いや？特に？」
特になかったら何なんだよ、という言葉をすんでのところで飲み込んで、やけになって生姜焼きに噛みつく。そんな様子を彼は無感情にじっと見つめてくるものだから、こちらが耐えられなくなってあっけなく折れてしまった。
「…いや、彼、すごいグイグイ来るのよ」
「はぁ」
「私、あんまり男性と必要以上の会話とかしたことないから…ちょっと、困惑中」
チーノことチーノ君は、私が異動した先の営業部の期待のホープだ。入社当初から注目されており、持ち前のトーク力と社交性で数々の取引に成功している。ショッピの同期でもあって、ショッピ伝いでよく彼の名前は耳にした。
彼とショッピは、部署は違えど仲は良いようで、教育期間中、ショッピを見かければ話しかけに来て、隣に居る私にも元気に挨拶をしてくれた。
その時に少し話したことはあったが、その時から今の片鱗を見せていたように思う。
その時は少し距離が近いな？と思うくらいであったが、部署を異動して彼のいる営業部に配属されてから、結構気になるくらいには距離の詰め方が凄かった。
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作者名：白詰クサ | 作成日時：2024年2月26日 23時
