【d!】ごちゃごちゃの缶詰【中編集】 (ページ7)

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食堂はピークを越したのか、食券機前に行列はできていないものの、座る場所は結構埋まっているようだった。

ショッピに何が食べたいのかを聞けばカレーと答えたため、先に席を取っておくように言って、お金を投入する。

ごちそうさまでーすとわざとらしい笑みを一瞬浮かべてすぐに真顔に戻って席を探しに行ったショッピに、彼らしいな、と笑みが零れる。

　彼は後輩面が上手かった。相手のボーダーをきちんと見極めて、後輩として接するのが一際上手い。かといって相手に媚びるわけではなく、自分を出しつつ、軽口を言いながらも接してくる。仕事もできて、変に距離を詰めようとしてこない彼をなかなか扱いづらいと漏らす人もいるが、私は彼のそういうところはとても好感が持てた。
自分自身他人に執着するようなタイプではないため、淡々としている性格の彼とはとてもやりやすかった。自分の思ったことを変に隠さず言ってくれるため、教育をしている中でも色々なことをスムーズに教えることができたし、なんならこちらもたくさんのことに気づかされた。

「こいつは器用な奴やからな！飲み込みも早いで！一癖二癖あるけどまぁ大丈夫やろ」と彼の肩を叩きながら豪快に笑う、彼とは大学からの仲だと言う金髪の上司をじとりと睨みつけ、「あんたに言われたくないんすけど」と苦言を呈す彼の姿を思い出す。なんやとショッピ！！と噛みつく上司を横目に、当時は不安でしかなかったが、今では得られたものの方が大きかったため感謝している。

　閑話休題。
　カレーと生姜焼き定食の食券を持ってショッピを探せば、丁度食堂の隅の方の長机の端が空いていたようで、座りながらスマホを眺める彼を見つけた。はい、と食券を渡せば、彼はスマホを机の上に置いてありがとうございます、と頭を下げた。

＋→←茹だる瞳に蓋をして〔橙色〕