【d!】ごちゃごちゃの缶詰【中編集】 (ページ34)

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とてつもなく嫌な予感がしたため、無視をして横を通り過ぎようとしたが、思い切り首に腕を回され、ぐえ、と変な声が出る。

「お前！教室の前で待たせとる女の子誰や！彼女か！お前は仲間だと思ってたんによぉ！」

このこの！と頭をぐりぐりとされて、先ほどまで我慢していたストレスが爆発する。そういうのちゃうわ！と叫ぶが、隠すなてお前！と目の前の奴は聞く耳を持たない。

そんな俺らの様子を見ていた大先生とゾムは驚いたように大きな声を出し、「ロボロに女ぁ！？そんな悪趣味な奴おらんやろ！」「てかお前！ついに振り向いてもらえんからって別の女に乗り換えたんか！」「ちょ、ンなわけないと思うけどかわいい子やったら俺が正常に戻してやらな！」などと言って教室の扉の方に向かって走り出す。

恐れていたことが現実になり顔から血の気が引くが、時すでに遅し。ゾムと大先生は扉の前に居たのがAだと知り、驚いて一瞬こちらを見た。
これは後で死ぬほどいじられる、と察した俺は、未来の自分に向けて合掌し、とりあえず隣の永久戦犯にエルボーをかました。

あいつらがいらんことを言う前にさっさと行こ、と足を進めれば、唯一机に残っていたコネシマが「ロボロ、」と俺に呼びかける。

珍しいこともあるものだ。少し驚きつつも「なんや。手短に頼むで。」と振り向けば、スマホを見ながらコネシマは俺に問いかけた。

「どこで食うねん」
「どこって…屋上やけど」

そう俺が言うと、スマホをいじっていた指を止め、「やっぱな…」と呟いたコネシマは、スマホへの視線を俺に移して言った。

「場所、変えたほうがええんちゃう？」
「はぁ？なんでやねん」
「いや、だって今あいつが＿＿＿」

コネシマが何かを言いかけた時、廊下の方から、ゾムと大先生がAを昼食に誘っている声が聞こえてきた。２人での昼食が邪魔されることと、教室に居ないアイツが帰ってくる可能性しかないこの教室で食事をとることを何としてでも避けたかった俺は、コネシマの忠告を遮って、奴らの方に走り出す。

「すまんコネさん！アイツ待たせとるから行くわ！ほんまにすまんな！それ後で聞く！」
「あ！おい！！」

ロボロ！という声を無視して彼女の前に立つ2人を引っぺがして教室に放り込む。
彼女の手を取って急いで屋上に向かう中、3人分のヤジが背中から聞こえてきたが、知らんふりをした。