【d!】ごちゃごちゃの缶詰【中編集】 (ページ31)

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会話が途切れて、再び前を向いた彼女につられ、シャオロンも夕焼け空をぼうっと眺める。

丁度その時、夕日が雲から顔を出し、2人を照らした。

彼女は、自分の左側から差す日の光に照らされたシャオロンの姿を、ふと横目で見つめた。風になびく柔らかい彼の髪と、端正な顔が、彼女の胸の鼓動を速める。夕焼け空をバックにした彼は、昼の時と、先ほどの告白を受けていた時の彼と同様、とても絵になっていて、思わず彼女は息を呑んだ。

「…シャオロン、好きな人、居るんやね。」

気づいたら、言葉を発していた。シャオロンは一瞬手をピクリと動かした後、あー、んー、と照れたように視線をバラつかせ、「…まぁ」と、消え入るような声で同調した。

その場面は、彼女にとってスローモーションのように遅く感じた。

がつんと頭を殴られたような衝撃が、これが現実であると嫌でも分からせてくる。今、呼吸が上手くできているかどうか彼女は怪しかったが、そっか。と取ってつけたような笑みを浮かべて取り繕うことで精いっぱいだった彼女は、それについて考える余裕はなかった。

2人の間を風が吹き抜ける。どこか空気が重い中、シャオロンがゆっくりと口を開いた。

「…お前は居るんか」

思わず彼女が彼に視線を向ける。からかうような笑みを浮かべているわけでも、人の弱みを握ろうと悪い笑顔を浮かべているわけでもない彼の顏は、いつになく真剣だった。

胸が酷く高鳴って仕方がない。

これを口に出したら終わりだと分かっていても、喉につっかえているこのしこりを、彼女は吐き出したくて仕方がなかった。

「…居るよ。」

シャオロンが息を呑む。数拍置いて、そうか、と目を伏せたシャオロンを見つめていた彼女の瞳がゆらゆらと揺れる。

その瞳には、首を垂れた向日葵色の彼が映っていた。