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真っ赤になった女の子は目に涙を溜めながら、目の前の彼を見つめる。

彼は照れくさそうに首の後ろを搔きながら、一回深呼吸をした後、「ありがと。」と笑みをこぼした。


酷く、優しい笑顔だった。



「でも、ごめん。」



俺、好きな子居るんよ。



2人の間を夏風が通り過ぎる。嫌な湿気が、扉の前に立つAの足を撫でた。

Aは、ぽろぽろと涙をこぼす女の子と、頭を下げる彼の上に落ちた雲の影を、ただ茫然と見つめていた。

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作者名：白詰クサ | 作成日時：2024年2月26日 23時

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