【d!】ごちゃごちゃの缶詰【中編集】 (ページ21)

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ロボロを教室の外で待っている間、教室の中が少し騒がしくなったかと思えば、教室から人が飛びだしてきた。
反射的に肩が跳ね上がった彼女であったが、見知ったその顔と、「あれ？Aちゃん？」という聞き覚えのある声に肩の力が抜ける。

「鬱君。どうしたん、急に。」
「いや…」
「Aさんやん」
「あ、ゾム君。久しぶりやね」
「おひさー。あー、ロボロが一緒に飯食うのってAさんやったんか。」
「？そうやけど…何？」
「いやー、ロボロに彼女ができたんかと思ってバリびびって出てきてしもうたんよー。」
「あぁ…」

鬱の後ろからひょっこりと顔を出したゾムに軽く挨拶をすれば、2人が扉から飛び出してきたわけを話してくれた。なるほどねぇ、と言いながら、彼女は当たり前のように彼女候補から除外されていることになんの疑問も呈さなかった。

「残念やったなー、Aちゃん。今日あいつ居らんねん」
「昼練らしくてな。でも今日屋上行くんやろ？ワンチャン見えるんちゃう？」
「あっ、そうなんや…」

彼と話せるかな、という淡い期待が打ち消されてしゅんと肩を落とす。

彼女には好きな人が居る。

彼らのグループ内のメンバーであり、彼女の分かりやすさも相まって、想い人本人以外は殆どそのことに気づいていた。先程彼らが当たり前のように彼女を候補から外したのも、彼女がそれに対して何も思わなかったのも、それが原因である。

「どう？Aちゃん。せっかくやし、ここでご飯食べていかへん？」
「せやせや。ロボロと2人なんて何されるか分からんで」
「ばっかゾムお前、ロボロにそんな度胸あったらこんなことになっとらんやろ！」
「お前ら！！俺が居らんからって好き勝手言いやがって！」

2人がロボロいじりを始めたところで、丁度弁当袋を持ったロボロが2人を教室内に引っ張り戻した。ぐえ、と声を出した2人に目もくれず、はよいくで！とAの手を引っ張ってずんずんと廊下を進む。

彼女は少し振り向いて教室から顔を出してヤジを飛ばす鬱とゾム、そして先ほどまで居なかったはずのコネシマに軽く頭を下げて、速足で屋上に向かうロボロに引っ張られていった。