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2年の階の廊下を、人を避けつつ進んでいると、正面に見知った顔が見えた。
「ん？Aやないか」
「あれ？どこからか声が？え？こわ。ホラー？」
「ここにおるっちゅうねん！！」
「わ、小さくて見えんかったわー」
「棒読みすぎやろ！！」
彼の大きな声に耳を塞ぐ。彼、ロボロが、彼女の幼馴染であった。
親同士が仲の良い彼らは赤ん坊のころからの付き合いで、幼稚園、小、中、高校まですべて一緒だった。
毎回恒例と言っても良いロボロの身長いじりを終えた彼女はじゃあ、と言って彼の横を通り過ぎようとした。
「ん？お前、弁当袋なんか持ってどこいくねん。いつもの子と一緒やないんか」
彼の指摘に口を噤む。
彼女はこれが嫌だったのだ。話し上手でいじられキャラもこなす彼の周りにはいつもたくさんの人が居た。そんな幼馴染に、ボッチ飯を決め込んでいるところを見られるのはどこか嫌だった。
しかし彼に嘘をついたところでバレるのは確定しているし、かつ、こんなことで嘘をついたことの方が後々彼にいろいろ言われるのは目に見えているため、渋々白状することにした。
「…休みなんよ。あの子。今日はボッチ飯ですー」
「あぁ…。え？でも教室で食べればええやん。あんさんどこに向かう気なんや？」
「屋上。久々そこで食べようかなって」
「お、ええやん。俺も行こ。」
「おんおん…は？」
怪訝な顔をする彼女にロボロはこてんと首をかしげる。
だってあんさん、独り飯だと色々気まずいから屋上に行くんやろ。俺と一緒なら独り飯見られることもないしええやん。と言った彼にAは更に顔を顰める。全てお見通しだったことが気に食わなかったのだ。
「いや、あんたいつも一緒に食べとる子とか居るやろ。ええんか。」
「あー、大丈夫やろ。俺が居らんからって気にせんやろうし。何人かで食べとるから、誰かが一人になることもないしな」
さっぱりと言い切ってじゃあ弁当取ってくるわ。と言ったロボロを見届ける。
彼と一緒に食べることになるとは全く予想していなかったが、久々の二人での屋上での昼食にどこか懐かしさを覚えながら、彼女は教室の前で彼を待った。
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作者名：白詰クサ | 作成日時：2024年2月26日 23時
