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◆灰色の海に溺れる〔青色〕〔水色〕 ページ13
海に身を沈め続ける限り、空を忘れることはできない。そんなアンチテーゼに気づいていながらも、私は海から這い出ない。
その理由を奥底に沈みこませて見えないようにしていることに、私も、彼も、気づいている。
にもかかわらず、それについて言及しないでいる彼は、巨海のような寛大な心を有しているのか、はたまた、彼にとってそれはプランクトン程度のちっぽけなモノでしかないのか。どちらが答えかなどとうに見え透いているその問いに、重しをつけて沈める。
彼のそれに甘えて、私は海を漂うだけ。海の青さの正体に気づかないふりをして、彼に身を任せ続ける。
彼に溺れて死ぬのなら、構わないとさえ思えるようになった。彼の水圧に押しつぶされて死ねるのなら、本望だとも感じられるように。
でも、水で膨れあがった醜い姿を青空の下に晒したくないと、心のどこかで思ってしまう私は、ひどく傲慢で、何よりも醜い女なのだろう。
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作者名:白詰クサ | 作成日時:2024年2月26日 23時