私の方がモテるけど２【青葉城西】

番外編 肝試し(2) ページ6

岩泉side




｢…………は？｣


俺の前には、佳奈子の華奢な手が
差し出されている。


『怖いから、手、繋いでもいい？』


怖がっているフリすらせずに、
ニッコリ笑いながら言う佳奈子。


｢いいのか？結構周りに人いるぞ｣


『そんなこと気にしない気にしな〜い！
ほら、行こ！はじめ』


ｷﾞｭｯ


｢っ！お、おう｣


別に佳奈子と手を繋ぐなんて慣れてるはずなのに、
今日はなぜか、いつもより心臓がうるさい。


(あっちぃ…………)


この熱は、東京の暑さのせいなのか、
それとも＿＿＿＿＿



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



ｵﾊﾞｹ｢ギェーーーッ!!｣


『キャー！こわ〜いww
今の、木兎くんかな？』


｢よく分かるな。化粧してっから、
誰が誰だか全然分かんねぇ｣


佳奈子がさっき｢怖い｣と言っていたのは
もちろん真っ赤なウソで、逆にこっちが
オバケ役のやつを怖がらせたりして遊んでいる。


『そろそろゴールだけど…………』


｢及川たち、何にあんなに驚いてたんだ？｣


ここまで、デカい声を出すほどの
仕掛けは無かったはずだ。


(まさか、これで終わりなわけないよな？)


せっかく佳奈子と一緒になったのに、
ここで終わったら少し物足りない。


………と、完全に油断していた、そのとき。


ﾋﾀ……


『ひゃあっ！』ﾋﾞｸｯ


｢佳奈子？どうしtうおっ?!｣


うなじに、何かペタペタしたものが当たった。


『これ…………こんにゃく？』


｢だな………｣


落ちてきたこんにゃくを手に持って、
まじまじと見つめる佳奈子。


『気持ち悪っ！』ﾎﾟｲｯ


｢あっ、ちょ、こっちに投げんな！｣ﾎﾟｲｯ


しばらくポイポイとこんにゃく合戦をしていると、
どこからか｢イチャつくな！｣｢おのれリア充！｣と
恨めしそうな声が聞こえてきた。


『｢ふっ｣』


『こんにゃくなんかに驚いたところ、
みんなに見られちゃったみたいだね』


｢そうらしいな｣


やだ、恥ずかしい〜！と笑う佳奈子は、
このシチュエーションのせいか、それとも
月明かりのせいか、いつにも増して綺麗に見える。


『もう、恥ずかしいから早く行こ！』


｢おう。ほら｣


今度は俺から、佳奈子に手を差し出す。


『！……ふふ、ありがと』


｢おう｣


この後、ゴールした直後にクソ川が飛んで来て
佳奈子からひっぺがされたのは、言うまでもない。

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