32 本気 ページ38
佳奈子side
『別に、送ってくれなくてもよかったのに』
あれからしばらく遊び、0時近くになって
やっと解放された私は、女子部屋に向かっていた。
及「俺が送りたかっただけだから、いいの!」
徹はそう言って、私の手をとる。
及「もし佳奈子ちゃんに何かあったら、
俺、どうにかなっちゃうもん!」
『大袈裟だなぁ〜。そんなに心配しなくても、私、
そんなにひ弱じゃないよ?』
及「うん、分かってるよ。でも_____」
ダァンッ!!
『っ!』
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
及「こんな風に押さえ付けられたら、
女の子の力じゃ振り解けないでしょ?」
『と、おる……………?』
壁に手を押し付けられて、抵抗しようとしても
ピクリとも動かない。
及「佳奈子ちゃんは自分が可愛いってこと
自覚してると思うけど、でもだからこそ、
油断してる。さっきだって、金田一、
よく我慢したと思うよ?俺は、佳奈子ちゃんに
あんなにくっつかれて我慢出来る自信、無いよ」
私を捉えて離さないその目は
ギラギラと光っていて、思わず身震いする。
『徹、離して…………?』
そうお願いしてみても、じっと私を
見つめるばかりで、一向に手の力は弱まらない。
及「佳奈子ちゃん、俺……………ううん、
俺“たち”、本気なんだよ?俺も、岩ちゃんも、
まっつんやマッキーも、国見ちゃんや矢巾だって、
本気で佳奈子ちゃんのこと______」
『分かってる』
徹の話を遮って、その綺麗な栗色の瞳を
見つめ返す。
『みんなが中途半端な気持ちで私を好きって
言ってるわけじゃないことくらい、知ってるよ。
知ってるけど、今はまだ、みんなの気持ちには
応えられない。応えちゃいけない』
これは、マネージャーになった日に決めたこと。
『私が「青葉城西高校男子バレー部マネージャー」
じゃなくなるその日まで、部員の誰とも
付き合わないって、決めたの。だから、みんなが
どれだけ私を想ってくれてたとしても、今はまだ、
応えられない』
ごめんね、と謝ると、ギチギチと音を立てそうな
くらいキツく握られていた手首が自由になった。
及「そっか、知ってたんだ……………」
『うん、知ってたよ』
及「そっか」
『うん』
及「……………」
『……………』
その後は私も徹も言葉は交わさなかったけど、
徹の横顔は、どこか吹っ切れたように見えた。
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S.O(プロフ) - 僕の名前はノートです@みゅーじさんさん» ありがとうございます〜!励みになります! (2018年12月21日 7時) (レス) id: 8a35597961 (このIDを非表示/違反報告)
僕の名前はノートです@みゅーじさん(プロフ) - 神ってますね!更新頑張ってください! (2018年12月21日 7時) (レス) id: cc36bc3fd9 (このIDを非表示/違反報告)
S.O(プロフ) - 綾波美舞さん» そんな神だなんて!恐縮です〜!ありがとうございます!! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 8a35597961 (このIDを非表示/違反報告)
綾波美舞(プロフ) - この作品神ですね!お気に入り登録させていただきます! (2018年12月14日 21時) (レス) id: ebfeae08b9 (このIDを非表示/違反報告)
S.O(プロフ) - おもろすぎさん» なんだか照れちゃいますね!ありがとうございます、嬉しいです! (2018年12月10日 9時) (レス) id: 8a35597961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:S.O | 作成日時:2018年8月16日 23時