Ein Bisschen Mut. (ページ4)

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Etwas abseits der Straßen. ページ4

Aside

-少し外れた道しるべ-

それはただ壊れただけなのか

はたまた神の気まぐれでしょうか

彼を私のボロっちいお屋敷にご招待できたのは

遠くに見えるビルの山に

太陽が吸い込まれていく頃になってしまいました

もちろん私の家にインターホンなんてものはないので

門を開け、

開き扉を強くノックしなければなりません

あまりやりすぎると

近くのご婦人に冷めた目で見られるので

注意が必要な作業なのです

ゴンゴン

と

どうもか弱い乙女が鳴らすような音とは

縁もゆかりもないような野太い音が

あたりのだだっ広い庭を通り抜けた気がしました

ああ、

明日の視線が痛くならないことを祈りながら

今日は布団に入ることになりそうですね

ガコンっ

と

錠を落とす音が聞こえ

ホラー映画でよく見るような

重苦しい音を響かせながら開いた扉の先には

貼り付けたような

笑みを浮かべた老父が立っていました

『ただいまかえりました』

そう老父に言うと

少し優しく微笑んで

「遅いお帰りに

　奥様がお怒りです」

と言いました

分厚い扉のうちに足を踏み入れると

玄関横の針子時計が音を立てた時でした

時計を見ると７時のところを

アンティークな短い針がピンと刺していました

『周りが明るいから
　てっきり６時ごろかと思いました』

率直な感想を言い訳に使おうかと思います

グネグネと回答を曲げると

お婆様に怒られてしまいますので

老父は笑みを崩して

スッと目を開くと

「おかえりが遅れたのは

　そちらのお客様のせいでしょうか？」

と尋ねてきました

お客様

とは、

私が今日出会った彼だろう

『私が勝手にお節介を焼いたのです

　叱らないで差し上げて下さい』

「おや、

　お嬢様が誰かを庇うとは」

私のことを

グリム童話に出てくる狼のように

邪険に扱うのはよしてください

ため息を吐こうと息を吸ったとき、

お客人の彼の

蜘蛛の糸のような髪から

ぽたぽたと水が垂れました

「タオルをお持ちいたしますので

　しばしお待ちくださいませ」

老父はスッと礼をすると

皮のブーツを鳴らしながら

廊下を進んでいってしまいました

未だにぽたぽたと音を鳴らして落ちる

小人の雨のような水滴は

ワインをこぼしたようなカーペットの色を

血が染み込んだような色に変色させているだけでした

『寒くはありませんか？』

声は私の家の中に入ってから

幾分か通るようになり

普通の人くらいの声で

声をかけられたでしょうか