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Begegnung mit Geheimnis. ページ3

Aside

-不可思議との遭遇-

運命の出会いよりも突然に

なによりも命取りになるであろうもののこと


私は彼との出会いの場所に

手持ちの治療道具を広げようとしたのですが

なにせその場所は薄汚い指定ゴミ捨て場

足元を蟻が這い

顔まわりを鬱陶しいハエが煽るように飛び立つ

そんなところに広げた治療道具を

清潔と言える自信はまるでなかったので

彼をとりあえず私の家に招待することにした


『あの、ここでやるのも汚いので

 私の家に来ませんか?』

ある程度慣れてきたという私の喉は

しっかりと母が子守唄を歌う程度には出ているので

私も病気ではなかったようでひとまず安心です


ただ、

彼は人を疑わない

能天気なお馬鹿さんなのか

はたまた

人の中にごく少数いる

本物の善人なのかはわかりませんが

私のその胡散臭い提案に

ひょいと乗ってみせたので

今度は

私が彼の能天気さを心配することに

なってしまったのでした



さて

ここで私の古めかしいお家について

少しだけ説明しましょう


私の家は昔にちょっとした名家だったようで

大正時代の洋式のような豪邸

というと皆さんしっくりくるような

そんな建物なのです

ただやはり

こういうのはなんですが

相当な年代物でして、

一部の廊下は抜け落ちていますし

屋根裏になんて足を踏み入れようものならば

そこらのお嬢様が見たことのないような

気持ちの悪い虫の国が広がっているので

(私の愛するお婆様談)

人を進んで入れたいとは思わないのですが

これは話が別です


皆さん思ったでしょうね

そんな家に治療道具を広げてもいいのか??

ご安心ください

少なくとも私は普段床にあぐらをかいて座りますが

変なダニに噛まれたことなんてありませんので

きっと平気でしょう


ここで私はようやく彼の

不可解な点に触れ始めたのです

見た目に反してなんとも子供らしい反応

身体中にツギハギがあるのに

止血の仕方も知らない

そんな彼のことを可哀想な人として

気分で家にあげようとしていたことをはっと思うと

正直なところ背筋が凍ったのがわかりました


ただ、

彼は少し



だいぶ変わった人だけれど

連続殺人犯のような凶暴な人はないだろう

という

私の甘い考えから

彼の治療のため

古くてボロっちい私のお屋敷に

帰る足は止めませんでした

(この例えが本当に当たっていたと知るのは

 これのだいぶ後のお話なのでした)

Etwas abseits der Straßen.→←Do bist schön



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設定タグ:呪術廻戦 , 真人   
作品ジャンル:アニメ
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がー(プロフ) - 文章とても好きです。続き楽しみに待ってます。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: c5faf613f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫 | 作成日時:2021年4月9日 21時

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