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Do bist schön ページ2

Aside


-あなたは綺麗-

それは

シンデレラが魔法をかけられたときのように

誰かが生まれ変われる力のある言葉だと思うのです


彼に出会ったとき、

私はクラスのいじめっ子に散々叩かれた後だったので

奇跡的に救急セットのようなものを

カバンの中に所持していたのですが

初対面で急に治療を始められても

不信感しか抱かれないと分かっていたので

あらかじめ声をかけることに決めたのです


否、

決めたはずだったのですが

私は別に極度の人見知りでもなければ

あがり症でも無かったはずだったのですが

彼の目の前で声を出そうとすると

どうも声が出ずらい感覚があるのです


『怪我、放っておいていいんですか?』

先ほどの声をかけた時より

幾分か出たような気もしますが

どうも死にかけのうさぎのようにか弱く、

通らない声が喉から搾り出されただけのようで

一瞬彼は考えてから返答をしました

真「治し方がイマイチわからなくってさ」

そう言ってみせた彼は

どこか子供のような

あどけなさを感じる笑顔で

私の方を見たのです


"治し方がわからない"

だなんて聞いたこともなかったので

私の方も少々返答に渋った気もします


『治し方、なんてないですよ

 血を止めて

 治っていくのを待つんです』

わかりづらいような説明しか

私のお粗末な脳みそには浮かび上がらなかったので

なんとか

岩の隙間から

ちろちろと湧き出るような少ない情報を

慎重に繋ぎ止めたような不恰好な文章でした


そんな私の

先生のような立場でしたら

当然クビにされているような説明に

彼は正直に

真『それもよくわからなくて』

と返しました


ぶっちゃけ

私の方が完全に困惑していました

なにせ、私は今までに

血の止め方がわからないような男性に

出会ったことなど一度もなかったのですから


きっとあの馬鹿げた小さな教室の中の

非常識なお嬢様方ですらも

そんな人に出会ったことなどないのでしょう


『これ以上傷を放っておくと

 綺麗な肌に傷跡が残ってしまいますから

 私でよければ治療しましょうか?』

優しく、

刺激しないよう、

慎重に言葉を選んで声をかけました

私は何故か

私よりも大きな彼が

下手すると大きなケルベロスにでも変身するのでは、

なんてことを思っていたのかもしれません


そんな私とは裏腹に

彼はすっかり私を信じるような顔で

真「頼める?」

と言ってきたので

少し心配になってしまったのは

別のお話です

Begegnung mit Geheimnis.→←Begegnung



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設定タグ:呪術廻戦 , 真人   
作品ジャンル:アニメ
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がー(プロフ) - 文章とても好きです。続き楽しみに待ってます。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: c5faf613f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫 | 作成日時:2021年4月9日 21時

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