逃げちまえ 2【梟谷】【稲荷崎】

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｢玲チャン､ご機嫌斜め?｣


お盆にお昼を乗せて前に座ったのは天童さんと牛島さんだった｡


『そう見えるならほっといてください｡』

｢え〜?女の子が色々抱え込んでるのに放っておく男はいないよね〜若利くん｡｣

｢遊馬､何か悩んでるのか?｣

『…………別に悩んでないです｡』

｢今の長い間は何だ?｣


この人は白鳥沢1の天然のくせに色々しつこい｡

父親を相手にしている様だ｡

無視して続きを食べてると天童さんが口を開いた｡


｢何を抱え込んでるかは敢えて聞かないけどさ､もっと周りを頼れば良いじゃん｡

何でも1人で抱え込んでたら重いでしょ?周りに手伝ってもやったら良いよ｡｣

｢？遊馬は今､何も持っていないが?｣

｢若利く〜んそういう意味ではない｡｣

『別に重くないですし平気です｡』


そう言えば天童さんは目を細めて｢ふーん｣と頷いた｡彼の目は時々､自分の中の中心部分を見透かされてるみたいで苦手だ｡


｢そうやって自分の気持ちを押し殺して辛くないの?

人間だもん｡どんなに強い人でも辛い時はあるし悲しい時もあるし､傷付くこともあるよ｡

たまには誰かに助けを求めても､弱くなっても良いんでないの?｣

『…………天童さんにもありますか?』

｢俺は妖怪だから｡｣

『……そうですか｡』

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