୨୧ ページ35
.
『んふふ…そうなんですね、、やったぁ』
「やった、というのは？」
『共通点って、見つけると嬉しいじゃないですか』
にこにこと嬉しそうに、至極当たり前のように、そう言う。もう私に対して、完全に緊張はしなくなったらしい。
お姉さまやちーののように、生粋の令嬢とは言えない家柄なのも理由なのだろうか。ふぅむ、雰囲気からバレてたりするんかな。まぁ、別にええんやけど。
ふにゃ、と笑う彼女に、自分の表情も緩むのを感じる。
ちいちゃくて、やわっこそうで、総じて言えば、ただただ可愛らしい。
あまり…いや、絶対
筋金入りのお嬢様であるお姉さまが気に入った庶民。
そんな面白い存在である彼女を、少しばかり玩具のように思っていたのは事実。ついでに自分と同じく、他人を弄る事を趣味としている人物にも紹介してやろうかとも思っていた。
だがしかし、ここまで可愛らしい生き物だとは思っていなかった。
彼に紹介した暁には、誘拐まっしぐらの気配がしてならない。そんな事でお姉さまの不機嫌を被りたくないので、もっとずっと先に気が向いたら存在を教えてやろうか。
ついつい笑みが浮かんでしまい、口元に手を当てた。心が軽くなるのと同時に、足元も浮ついてくる。
ああ、やっぱ取り繕わん方が楽やな。もっと仲良うなって、早う素出せるようにさして欲しいな。
お姉さまはまぁ許してくれるとして、ちーのが問題。あの子はまだまだ警戒心ばちばちやろうし、それもこれも全部貴女次第なんよ。せやから、
「…頑張って下さいね、Aさん」
『え？』
「あの車に乗りますので」
前方に見えてきた黒いベンツを指差すと、ぴし、と身体を強張らせる。見た目ごついもんなぁ…。お姉さまんとこは、なかなか無いサイズやしなぁ。
とん、と背を柔く押せば、怯えた顔を浮かべる。
あーあーあー。その顔はあかんよ。すーぐ食われてまうよ。
ほんま、可愛い人。
「お姉さまは貴女の事をとても気に入ってらっしゃるので、大丈夫ですわ」
『……はー…心臓ばくばくしてきた、』
「ふふ、さぁ…参りましょう」
車にたったと寄って助手席の窓をノックする。ゆっくり開いた窓からは、先程と変わらない様子でいるじいやが見えた。
「戻りましたわ」
「おかえりなさいませ。今扉を開きます」
いそいそと運転席から降りてきた彼によって、扉が開かれる。さっさと乗り込むと緊張した面持ちのお姉さまとちーのが目に入る。
はてさて、これからの展開がどうなるか楽しみやなぁ。
Aさんを招き入れ、一人呑気に状況を楽しみながら考えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 869人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんず(プロフ) - しろさん» コメントありがとうございます！そうですよね…「お父…様、？」とすぺきゃをかましましたよ…。やっぱり別派生からお名前拝借するのアリですよね…。一から考えるよりお手軽で。ご提案助かります😊🙏 (2月25日 10時) (
レス) id: 97349c3877 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 分かります分かります！私もあの一言で数分ほどフリーズしていました…登場してもしなくてもお話は美味しいのですが、もし登場させるのなら他の方が仰っているようにお名前だけㅁ兄鬼やwr式等の動画から拝借するのはどうでしょう？ (2月19日 1時) (レス) @page30 id: b1c40a48ed (このIDを非表示/違反報告)
シユ(プロフ) - いつも楽しく見ております!一つ提案なんですが出す場合は名前がご本人様とお嬢様で被ってしまうので名前だけwr式のどれかから貸りるもしくは新しく作るというのはどうでしょう?性格はもちろん普段のご本人様達で構いません。出さない場合ももちろん素敵だと思います! (2月18日 11時) (レス) id: 22aa8623f5 (このIDを非表示/違反報告)
快晴(プロフ) - 私は出しても構わないと思います！！それにぽんずさんが出したいならぽんずさんの作品なので好きなようにして良いと思います！！！🥂✨ (2月18日 10時) (レス) @page30 id: 3fba93f21d (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙(プロフ) - お嬢様の百合ゆりしい世界感を保つのも素敵だと思いますわ！ (2月18日 10時) (レス) @page30 id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
