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予定がある、その言葉を発した途端、少女は口を噤んだ。きらきらと輝いていた顔は悲しみに染まって、握られている手も段々と弱々しくなっていった。
その悲し気な顔は、どこかで見た記憶があった。
そうだ、この前バイトに遅刻ギリギリになりながらも助けた少女だ。
少女との出会いを思い出したと同時に、自分がまた彼女を悲しませている事に気付いて、異様な焦りに駆られた。
また、またやってしまった、と。
悲しませてしまった事を詫びるべきなのか、それとも早く去ってしまった方がいいのか頭の中を色々な考えがぐるぐると回る。ぺんちゃんとしにちゃんの所に早く戻らないといけない、と思いつつも少女の手を振り払えないでいた。
その時、あのパンクな少女が再びひょっこり顔を覗かせた。
「女神さんは、いつお時間がおありなのですか?」
『え…あ、と……』
彼女達の中で何故自分が「女神」と呼ばれているのか分からない中、必死にバイトなどの予定を記憶から掘り返す。
明日、は…バイトで。明後日も確かバイト……。
『み、3日後、なら』
「明日、明後日はご用事が?」
『はい……』
「なるほど…」
考え込んだパンクな少女を、私も他の2人も見つめている。彼女がこの3人組のブレーンなのだろうか。
ぱっと顔を上げたパンクな少女は、ぽん、と妖精の少女の両肩をやわく叩いた。
「それではお姉さま、3日後また来ましょう」
「もう、帰るの…?」
「女神さんも用事があるようですし、わたくし達もそろそろ帰らないといけませんし」
「早く…早くこんな所離れましょうお姉様」
厳格そうな少女も帰る事に乗り気なようで説得に入ってくる。妖精の少女は拗ねたように口を尖らせていたが、すぐ「…分かりましたわ」と零した。
そのままこちらを見ると、弱くなっていた握る力を再び強めた。
「それでは、また。また3日後、女神様に馳せ参じますわ」
『あのー…私、女神なんかじゃないんですけども、』
「そんな事ありませんわ!!」
ずっと気になっていた事を言えば、すごい勢いで否定される。びっくりしているのも束の間、私を置いて彼女は話し始める。
要約すると、あの時助けた事で彼女の中で私は「女神様」となってしまったらしい。
『えっと、"女神"なんて言われるの、慣れてなくて…名前教えるので、名前で呼んで貰えますか?』
お嬢様らしい彼女に自分なんかが「女神」と言われるのは、なんだか気が引けてしまうため、そう提案した。
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ぽんず(プロフ) - しろさん» コメントありがとうございます!そうですよね…「お父…様、?」とすぺきゃをかましましたよ…。やっぱり別派生からお名前拝借するのアリですよね…。一から考えるよりお手軽で。ご提案助かります😊🙏 (2月25日 10時) (レス) id: 97349c3877 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 分かります分かります!私もあの一言で数分ほどフリーズしていました…登場してもしなくてもお話は美味しいのですが、もし登場させるのなら他の方が仰っているようにお名前だけㅁ兄鬼やwr式等の動画から拝借するのはどうでしょう? (2月19日 1時) (レス) @page30 id: b1c40a48ed (このIDを非表示/違反報告)
シユ(プロフ) - いつも楽しく見ております!一つ提案なんですが出す場合は名前がご本人様とお嬢様で被ってしまうので名前だけwr式のどれかから貸りるもしくは新しく作るというのはどうでしょう?性格はもちろん普段のご本人様達で構いません。出さない場合ももちろん素敵だと思います! (2月18日 11時) (レス) id: 22aa8623f5 (このIDを非表示/違反報告)
快晴(プロフ) - 私は出しても構わないと思います!!それにぽんずさんが出したいならぽんずさんの作品なので好きなようにして良いと思います!!!🥂✨ (2月18日 10時) (レス) @page30 id: 3fba93f21d (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙(プロフ) - お嬢様の百合ゆりしい世界感を保つのも素敵だと思いますわ! (2月18日 10時) (レス) @page30 id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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