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「なんでもいいからさ、難しくない言葉をなにか私に言ってみてよ」
「なにかって言われてもすぐには思い浮かばないよ……」
Aが突然変なことを言い始めた。
読心術でも始めるつもりだろうか……？ キミに根本的に足りていないのはそういうことじゃなくて、人の話を最後まで聞くことだと、私は思うんだ……。
キラキラと、瞳に星を光らせて期待の眼差しを私に向けるAに『やらないよ』と断る訳にも行かず、渋々と言った形で私はAの提案を受けることにした。
*
夏油はあまり乗り気な様子では無かったが、私の熱意が伝わったらしく、やる気スイッチを入れてくれたらしい。ゴホン、と一つ咳払いをすると、伏せていた瞼をゆっくりと開いた。切れ長の目が射抜くように私を見つめる。
薄く開かれた唇が一度固く結ばれ、意を決して再び開かれる。
「……触れても、いいかな｣
夏油の纏う空気が、私に向ける眼差しが数分前迄のものと全く別のものへと切り替わる。
琥珀色の瞳の中にどろりとした熱を孕んだ視線が私を射抜く。
＿＿く、喰われる？！
私の頭には四文字が即座に浮かんだ。そうだ、以前もこうしたやけに熱っぽい視線を向けられたことがあった。
ああ、あの時の私は彼になんて言葉を返したのか。
私は突然、目の前の夏油が自分を狙う捕食者に見えてきてしまい、今すぐにでもこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。だがしかし『夏油の表情から言葉の裏を読み取ろうの会』(たった今命名)は、始まったばかり。
「A？｣
反応がない私を不思議に思い夏油が呼びかけてきた。
そうだ、なにか……なにか、夏油の先程の言葉の裏の意味を答えなければ。
「あ、え、え〜っと……なんだろう？触れたい？ ああ、私と握手したいってこと？ アハハ、どうぞどうぞ」
「……」
咄嗟に出てきたのが握手だった。一番最初に浮かんだのは『喰われる』だったが、なんとなく、その言葉を出してしまえばそれが本当になってしまいそうで、怖くて逃げに転じた。
夏油は私の言葉にピクリと片眉を動かしたが、ため息を一つ吐くと、困ったように笑いながら『残念、違うよ』ひどく残念そうに答えた。
＿＿あれ。意外と誤魔化せている？
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愛(プロフ) - あさん» はじめまして。コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です☺️💕🙇♂️ (10月23日 18時) (
レス) @page15 id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです！ (10月23日 18時) (レス) @page16 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...
作成日時：2023年9月6日 2時
