2 ページ3
.
「五条、五条! 紹介するね、五条の親友であり私の恋人でなんでもやってくれる夏油傑だよ!」
「…………はぁ?」
得意げな顔をして自分の彼氏を紹介し始めた同期のバカ女に、俺は思わず間抜けな声を上げた。
だってそうだろ? 傑とAが恋人同士だなんて事は俺も硝子も後輩の七海達だって知ってる、それなのに今更紹介なんて頭でも打って記憶喪失になったのか?
状況を説明しろよ。俺が聞くよりも先に、教室に遅れてやってきた硝子へ俺と全く同じ説明をしている後ろ姿を見て、大方のことは察しがついた。
生き生きと喋ってるAの後ろで、両手で顔を隠して俯いている
____もしかしなくても、これって俺のせいか??
*
*
「ふ〜ん、 ” プレゼントは私” ねえ」
硝子から向けられる鋭い刃物のような視線に俺と傑は同時に頷いた。この場にAの姿は無い、恐らく硝子の指示で七海あたりに足止めさせているはず。
『今どうしてこんな状況になっているのか』を硝子が傑にこっそり聞いたところ、うっかり……というか硝子の圧に負けて正直に暴露したらしい。それで言い出しっぺの俺もこうして反省会……っておかしくね?
「なんで俺まで説教なんだよ。本気で言ったのは傑だろ? それにあのバカは傑の言葉を全然違う解釈で受け取ったんだから問題ねーだろうが!」
「……そうだな、確かに五条は提案しただけだしAもそうとは受け取らなかったな。 ……けど万が一そう受け取った場合は? あ゛? 責任取れんのか? お前ら」
するのもしないのもそれは傑の勝手だろ! という俺の悲鳴は喉の奥に引っ込めた。
「取り敢えず質問。夏油のA専用執事ゲームは何時までやるつもり?」
硝子の質問で漸く顔を上げた傑は隣にいる俺ですら聞き取れないぐらい小さな声で『一年』と答える。
うわ……一年もアイツの手となり足となるのかよ、だからあんなに『やらかした』って反応してたんだな。
「……ふーん、まあ自業自得だろ。漸くAと付き合えたからって手を出そうとするから痛い目みるんだ。 変な気だけは絶対に起こすなよ」
「……はい」
流石に健全な男子高校生にそれはねーだろ……と横槍を入れたくなったけど、そもそも傑はそうでも向こうがな……アイツが恋人同士の空気ってのに対してかなり……いや、相当鈍いから全然平気か。
今にも泣き出しそうな親友の肩をドンマイ、と俺なりに励ます気持ちで叩けば、すごい速さで振りほどかれた。
__は?! なんだよ励まそうとしたのによぉ!!
.
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛(プロフ) - あさん» はじめまして。コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です☺️💕🙇♂️ (10月23日 18時) (レス) @page15 id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです! (10月23日 18時) (レス) @page16 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...
作成日時:2023年9月6日 2時