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「うっわ、もう二月じゃん……テストあるし、バレンタインデーも今年はどうしようかまだ考えてないんだけど」
「バレンタインデーもそうだけど、それよりも先にAにはすべき事があんじゃん」
硝子の言葉にAはキョトンと目を丸くする。
自分の記憶が正しければ、二月に誰かと約束をした覚えは無い。しかし、硝子がわざわざ自分にこうして告げてくるということは、それなりに重大で、大切な事なのだろう。
好きなアーティストのライブ? DVDの発売日? それとも昇級試験?
頭に疑問符を浮かべるAに、硝子は『ウケんだけど』と、言葉を零した。
「二月三日、なんの日か覚えてないの?」
「節分の日でしょ??」
「その日、夏油の誕生日だけど」
__ジーザス!! 彼氏の誕生日を忘れていました!!
可愛らしさの欠片もない悲鳴をあげる私を見て、硝子は声を上げて笑い始めた。笑い事じゃないのに、笑わないで欲しい!! 当日に知ったとかじゃないだけマシだけど!!
*
「__と、言うことで、五条ぉぉぉぉぉ!! 夏油の誕プレは何がいいと思いますか?!」
「はぁぁぁ?! 俺に聞きにくんじゃねぇよ!! 自分で考えろバーカ!!」
「私の捧げた供物食べならがら言うなよ! 返せ!!」
コンビニで新発売の少しお高めのケーキを供物として五条に夏油の誕生日はなにがいいのか相談に向かったのに、五条の野郎、食べた上で『自分で考えろ』と私を突っぱねる。
「アンタは夏油の親友でしょ?! 夏油の好きそうなものとかさぁ、欲しいものとか……聞いたりしてないの?」
「してねーな」
「少しは考える素振り見せても良くない?!」
五条のやつ……不真面目にも程がある。『うーん』だとか『へー』だとか、適当な相槌を打ちながら、ケーキは既にすっからかん、食べている間に答えなど出てきやしなかった。当然だ、答える気が全くないのだから。
「同性ならまだ私だって思いつくけど異性だし、しかも彼氏となるとハードル上がるじゃん……?」
ボソボソと呟く私の声に、口元のクリームを拭った五条が、なにか閃いたのか、『あ!』と声を上げた。
「え! 何今の反応、いいの思いついた?」
「いいの、つうか、なんつーか…………思いつかないなら、" プレゼントはわたし♡ " とでも言えばいいんじゃねーの?」
__あれ、なんかその言葉聞き覚えがあるぞ。
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愛(プロフ) - あさん» はじめまして。コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です☺️💕🙇♂️ (10月23日 18時) (レス) @page15 id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです! (10月23日 18時) (レス) @page16 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...
作成日時:2023年9月6日 2時