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「A。今日のところはもう終わりにしないか」

「フッ……どうやらそうした方がいいらしい」

「一問も正解できなかったのになんで満足そうな顔をしているんだい?」


結論から言うと、私は人の言葉の裏が……と言うよりも深読みができないらしい。

意外と簡単かと思いきや、夏油の心のうちはそう簡単に読めるものではなくて。
私に向けられる視線が、表情が、全て草食動物に向ける肉食獣の物にしか途中から見えなくなってしまった私は、心に思い浮かんだ言葉を全て否定するかのように避けに避けまくった。

夏油は私の言葉に全く疑うことなく、残念そうに肩を竦めたり怪訝そうに眉を顰めるだけで言及してくることは無かった。


__流石に途中で『食べちゃいたいな』とか言われた時はビビったけど!!


私とのやり取りに付き合わされている夏油が空腹宣言をしてきたので、常備している酢昆布をそっと手渡したらドン引きされた。
どうやら酢昆布はお気に召さなかったらしいので変わりに私が食べた。

流石におつむの弱い私でも、付き合っている人から熱っぽい視線を向けられながら『食べちゃいたいな』と言われたら、その先がなんであるかは理解出来る。二人きりであるこの空間にそんな話を持ち出してみろ、私の心臓が持たない!!


「夏油が途中からズルしてた! 途中からポーカーフェイスしてたでしょ!!」

「ズルもしていないし、ましてやポーカーフェイスもしていないよ。私を卑怯者扱いするのならもう一度やってみるかい?」

「いや!! 今度は私がやるから夏油が当てる番!!」


終わりにしないかと終止符を打ったのは夏油の方なのに、私の言葉にムッと来たのか、再戦を申し出て来た。いや、なんで?!


「いいよ、それじゃあやってみよう」

「そうだなあ……夏油、甘いものが食べたいんだけど」

※(直訳)購買部で甘いもの買ってこい


私はこれでもか! と言うほどニコニコの笑顔を浮かべる。私は酢昆布を食べた後なので今はとても甘いものが食べたいんだ、夏油に不満は言わせない。

それとあと、夏油とこのまま教室で二人きり……の状況も理由は分からないがやばい気がするので五条達が来るまで回避しなければ。


「ああ、分かったよ」

「流石夏油!それ、」


『ケーキを買ってきて』という私の言葉が紡がれることは無かった。何故ならば、夏油の其れが蓋をしてしまったから。

意外と長い夏油の睫毛、湿っぽい感触。
今までにないほど夏油の顔が、近い。


「……おや。コレは正解じゃなかったかな?」


キス、されたのだと気づいたのは、スローモーションのようにゆっくりと夏油の顔が離れていった後のこと。


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設定タグ:呪術廻戦 , さしす組 , 夏油傑   
作品ジャンル:ギャグ
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(プロフ) - あさん» はじめまして。コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です☺️💕🙇‍♂️ (10月23日 18時) (レス) @page15 id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
- すごく面白かったです! (10月23日 18時) (レス) @page16 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...  
作成日時:2023年9月6日 2時

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