アングレカム 3

・ ページ13

目黒side



フワッと意識が浮上して、目が覚めてる状態と、寝ている時との狭間

この時、自分を見る



キッチンまでの道

棚から取り出した薬を大量に飲み込んで、吐いて、倒れ込む自分

客観的に見てたわけじゃないのに、俺は俺自身を眺めてる



決まって、そこで目が覚める



起きても誰も居ない

自分だけの空間に、押し潰されそうになって、苦しくて、泣きたいのに泣けなくて


でも、もうそれは終わったらしい




めめ、って、耳元で呼ばれてる気がして、うっすら目を開けると、康二が居る



あ、そっか、


帰って来てたんだった




康｢めめぇ･･･｣




泣きそうな、･･･っていうか、もう泣いてる康二が、俺の名前を呼ぶ


夢を見たけど、誰かが居るってだけで、気持ちが違う

それは、この人たちだからなのかな



夜はしょっぴーが居てくれて、抱きしめてくれて

朝はみんなの顔を見て、安心して、朝ごはんも、充分じゃないけど食べて


二度寝、したんだっけ




目｢、こうじ、｣



ポロッとこぼした涙を拭おうと、手を伸ばして康二の頬に触れると、康二も、俺の頬に手を伸ばす



康｢めめ、泣かんでや、｣

目｢こ、じ･･･だいじょうだよ｣



あんまり力が入らない体をグッと起こす

あ、俺も泣いてんだって、康二の言葉と、膝にポロッと落ちた涙で気づく


泣いてるのに、不思議と、悲しくないし、寂しくない、それに、苦しくもない

それはきっと、この家だから


この家で、みんなを感じられるから



康｢っめめ、｣

目｢･･･だいじょーぶ、こうじ、｣

康｢泣いてるっ、めめっ｣

目｢ん、でも、だいじょうぶ。･･･こうじも、泣かないで｣



ボロボロ涙を流す康二を、弱々しいかもだけど、ぎゅっと、抱きしめてみる



康｢めめっ、｣

目｢うん、だいじょうぶだよ｣



康二が、なんだっけ、分離不安、みたいな

阿部ちゃんがそんなこと言ってた気がするけど、そういう感じなのは何となくわかってた

みんな言葉にこそしないけど、さりげなく、康二の隣に居るのは気づいてたから


康二がそうなったのは、紛れもなく俺のせい




康｢っ〜｣

目｢ごめん、こうじ、･･･ごめんね｣

康｢、あやまらん、でっ、｣

目｢･･･でも、｣




客観的に見える倒れた俺

アレを最初に見つけてくれたのは康二だった


ずっと謝りたくて、


ビックリさせてごめん、嫌なことさせてごめん、嫌な気持ちにさせてごめん

沢山謝りたいけど、上手く声が出てこない

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す