49.M ページ49
「…相葉くん来てたんだね。」
「うん、今日初めて来た。松潤は？」
「俺も初めて。だいぶきつそうだね…」
「うん…俺1人じゃ駄目だったから、松潤来てくれてよかった。」
これ片付けるね、と容器を片手に部屋の洗面台へ歩く相葉くんにお礼を言い、ベッドに沈む翔さんを覗き込む。
頬こそ赤いものの白いというか青いというか、みたいな顔色で、楽屋で血を吐いた時よりはマシなものの、まだ回復には時間がかかりそうな気配がした。
そばに置いてある体温計をそっと差し込む。
少し身じろぎをしたけど、目を覚ます様子はなかった。
薄茶色の髪の毛を指ですく。
さらさらとすり抜けていくそれをぼんやりと眺めながらずっとそうしていると、どれだけ時間が経ったのか分からないけど、ピピッと体温計が鳴った。
「37.8、ねぇ…」
非常に微妙な体温に渋く独りごちると、後ろからささやかな苦笑が漏れる。
「7度台に落ち着いただけ回復してると思うよ。」
「…そうなの？」
「うん。俺が来た時、8度超えてたから。」
またいつ上がるか分かんないけど、とタオルで手を拭きながら苦笑いする相葉くんは、俺のそばの椅子に腰掛けてぽつぽつと話し始めた。
先生によると、胃の炎症の引きが遅くて、熱も7度と8度を行ったり来たりで体力を消耗しているらしい。
本人曰く、少しずつマシにはなっているらしいけど。
「ずっと気持ち悪いって。結局吐いちゃったし…心配だよ。」
「そっか…」
かすかに寝息を立てる翔さんの頭をそっと撫でる。
当たり前だけど少し、痩せた。
細くなった彼を見て、こんな体にどれだけ無理を詰め込んだんだろうと悲しくなる。
「…早く元気になるといいね。」
「ね…。」
俺の元気を彼に分けるように、ぎゅっと手を握った。
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花(プロフ) - るりかさん» るりかさん、コメントありがとうございます！有難いお言葉ばかりで恐縮です…とても嬉しいです！お話が収まり切らなくて続編に突入致しましたので、是非読みにいらしてください(^^) (2018年3月5日 0時) (
レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
るりか - はじめまして。私もこっそりお邪魔している一読者です。ホントに文章やセリフがリアルに迫ってくるので、本気で翔さんのことが心配になってきてます(^^;。花さんの文章のファンになりました。これからも執筆楽しみにさせてもらっています。でもご無理のない範囲で(^^)。 (2018年3月3日 11時) (レス) id: 8c381e902d (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 花序さん» 花序さん、コメントありがとうございます！温かいお言葉とても嬉しいです(^^)そろそろお話も終盤なので、最後まで読みに来て頂けたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2018年3月2日 8時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。ひっそりこっそり毎日覗きに来させていただいてます(笑)巧みな文章にどんどん引き込まれてドキドキしながら読んでます！Sさんの病系が好きなので、今後の展開がとても楽しみです。無理なくマイペースに更新されて下さいね！応援しています(^^) (2018年2月28日 0時) (レス) id: 62c126ed99 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - しょうこさん» しょうこさん、初めまして！コメントありがとうございます！この分野は狭めのニッチでやっている自覚があったので(笑)、同じように感じてくださる方がいてくれて嬉しいです！今後もよろしくお願いします！ (2018年2月19日 20時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花 | 作成日時：2018年2月8日 21時
