46.A ページ46
久しぶりに会った翔ちゃんは、無事に一般病棟に移ったものの、ひとまわりもふたまわりも小さく見える。
まだ症状は完全には良くなってないみたいで。
「…あ、相葉くん、」
「翔ちゃんおはよう。ごめんね、来るの遅くなって。」
「ううん、」
ベッドに横向きになって布団に包まる翔ちゃんの口元には、敷かれたタオルと、洗面器のような容器。
少し上気した頬は、下がりきらない熱を主張している。
「しんどいね…」
「…うん……」
腕の点滴が痛々しい。
先生に聞いた話では、痛みも吐き気もしぶとく、加えて熱が翔ちゃんの体力を持っていってしまっているらしい。
浮かされたような顔つきは確かに、際の際で踏ん張っているようだった。
気休めにしかならないだろうけど、そっと背中をさする。思ったより強張っていた背中にどきっとした。
「きついね…つらいとこある？」
「…うーん、全部、かな？」
ごめんうそうそ、と笑ってみせた翔ちゃんだったけど、その笑顔には力がない。あながち嘘じゃないのが分かる。
「…力入ってんね。痛い？」
「…うん。」
「湯たんぽ、もらおうか。」
「ありがとう…」
今度こそ頑張る体力が尽きそうなんだろう。眉をひそめて目を閉じると、小さく唸るように声を上げた。つらそうだ。
「痛いね…」
「ん…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - るりかさん» るりかさん、コメントありがとうございます！有難いお言葉ばかりで恐縮です…とても嬉しいです！お話が収まり切らなくて続編に突入致しましたので、是非読みにいらしてください(^^) (2018年3月5日 0時) (
レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
るりか - はじめまして。私もこっそりお邪魔している一読者です。ホントに文章やセリフがリアルに迫ってくるので、本気で翔さんのことが心配になってきてます(^^;。花さんの文章のファンになりました。これからも執筆楽しみにさせてもらっています。でもご無理のない範囲で(^^)。 (2018年3月3日 11時) (レス) id: 8c381e902d (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 花序さん» 花序さん、コメントありがとうございます！温かいお言葉とても嬉しいです(^^)そろそろお話も終盤なので、最後まで読みに来て頂けたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2018年3月2日 8時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。ひっそりこっそり毎日覗きに来させていただいてます(笑)巧みな文章にどんどん引き込まれてドキドキしながら読んでます！Sさんの病系が好きなので、今後の展開がとても楽しみです。無理なくマイペースに更新されて下さいね！応援しています(^^) (2018年2月28日 0時) (レス) id: 62c126ed99 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - しょうこさん» しょうこさん、初めまして！コメントありがとうございます！この分野は狭めのニッチでやっている自覚があったので(笑)、同じように感じてくださる方がいてくれて嬉しいです！今後もよろしくお願いします！ (2018年2月19日 20時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花 | 作成日時：2018年2月8日 21時
