19.M ページ19
次の日。
午前中の仕事を終えて、いよいよ新曲を初披露する音楽番組の時間が近づいてきた。
気合いからか入り時間より早く着いてしまったけど、1番乗りだと思って扉を開けた楽屋には意外にも先客がいた。
「お疲れ。ニノ早いね。」
「あ、潤くんお疲れ〜」
ひらひらと片手を振りながらも目はゲームの画面から離れない。
いつも通りの光景に、ふふっと笑みがこぼれる。
「前の仕事早く終わったの？」
「そうそう。巻きの二宮なんで。」
こっちを向かなくても分かるくらいのドヤ顔で言ってのけるニノは、突然、あぁやられた、と悔しそうに空を仰いだ。
「なに、負けたの？」
「……負けた。もう何でだよ〜」
悔しそうに唇を尖らせてぽいっとゲーム機を机に置くと、上を向いたまましばらく黙って、おもむろに口を開いた。
「…翔ちゃん、今日大丈夫かな。」
「…大丈夫だよ、翔さんだから。」
なんの根拠もないまま答えると、ニノは首をすくめて小さくため息をついてまた黙った。
言ってから、それはただの俺の願望だったと気づく。
「お疲れ〜」
「あ、リーダーおはよう。」
眠たげに楽屋に入ってきたリーダーは、周りを見回して、翔くんはまだ来てない？と独り言のように聞く。
来てないよ、と返すと、そう、と言って、特に関係のない鼻歌を歌い出した。
やっぱり何だかんだ言っても、みんな翔さんが心配なんだな…
なんだか言い知れない、悪い予感のようなものを感じて、少しだけ身震いした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - るりかさん» るりかさん、コメントありがとうございます！有難いお言葉ばかりで恐縮です…とても嬉しいです！お話が収まり切らなくて続編に突入致しましたので、是非読みにいらしてください(^^) (2018年3月5日 0時) (
レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
るりか - はじめまして。私もこっそりお邪魔している一読者です。ホントに文章やセリフがリアルに迫ってくるので、本気で翔さんのことが心配になってきてます(^^;。花さんの文章のファンになりました。これからも執筆楽しみにさせてもらっています。でもご無理のない範囲で(^^)。 (2018年3月3日 11時) (レス) id: 8c381e902d (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 花序さん» 花序さん、コメントありがとうございます！温かいお言葉とても嬉しいです(^^)そろそろお話も終盤なので、最後まで読みに来て頂けたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2018年3月2日 8時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。ひっそりこっそり毎日覗きに来させていただいてます(笑)巧みな文章にどんどん引き込まれてドキドキしながら読んでます！Sさんの病系が好きなので、今後の展開がとても楽しみです。無理なくマイペースに更新されて下さいね！応援しています(^^) (2018年2月28日 0時) (レス) id: 62c126ed99 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - しょうこさん» しょうこさん、初めまして！コメントありがとうございます！この分野は狭めのニッチでやっている自覚があったので(笑)、同じように感じてくださる方がいてくれて嬉しいです！今後もよろしくお願いします！ (2018年2月19日 20時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花 | 作成日時：2018年2月8日 21時
