1.N 0208 ページ1
「さぁ始まりました、ご馳走をかけた早押しデスマッチ〜！」
高らかなタイトルコールとともに始まった僕らのレギュラー番組。
司会やゲストのおかげで華やかさを増したスタジオでは、今日もにぎやかに企画が進行している。
「はい大野さん！」
「まぐろ！」
「違います！はい櫻井さん！」
「かつお！」
「被せないで！魚から離れて！」
お客さんが笑う、僕も笑う。
周りのみんなも笑う。あぁ、楽しいなぁ。
正解してご馳走を勝ち取った相葉さんが揚々と席に着く。
あつあつの湯気を立てて出てくる料理に、しばしスタジオの皆が目を奪われてごくりと喉を鳴らす。
その、片隅で。
「……ふぅ、」
小さな、ため息が聞こえた。
僕のすぐ左の彼だった。
「…どうした？」
皆が料理に集中している隙に小さな声で問う。
「いや…なにも。大丈夫、ごめん。」
僕よりも小さな声で返ってくる返事に、僕は頷いて、そっかよかった、と言うことは出来なかった。
右手を軽く腰に当て、左手を早押し台について体を支えるようにして立つ彼。
きっと画面越しにはクイズに正解出来なかったいじけのように見えるのだろうが、僕はどうしてもそれをそのように受け取れなかった。
いつもと、何かが違う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - るりかさん» るりかさん、コメントありがとうございます！有難いお言葉ばかりで恐縮です…とても嬉しいです！お話が収まり切らなくて続編に突入致しましたので、是非読みにいらしてください(^^) (2018年3月5日 0時) (
レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
るりか - はじめまして。私もこっそりお邪魔している一読者です。ホントに文章やセリフがリアルに迫ってくるので、本気で翔さんのことが心配になってきてます(^^;。花さんの文章のファンになりました。これからも執筆楽しみにさせてもらっています。でもご無理のない範囲で(^^)。 (2018年3月3日 11時) (レス) id: 8c381e902d (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 花序さん» 花序さん、コメントありがとうございます！温かいお言葉とても嬉しいです(^^)そろそろお話も終盤なので、最後まで読みに来て頂けたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2018年3月2日 8時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。ひっそりこっそり毎日覗きに来させていただいてます(笑)巧みな文章にどんどん引き込まれてドキドキしながら読んでます！Sさんの病系が好きなので、今後の展開がとても楽しみです。無理なくマイペースに更新されて下さいね！応援しています(^^) (2018年2月28日 0時) (レス) id: 62c126ed99 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - しょうこさん» しょうこさん、初めまして！コメントありがとうございます！この分野は狭めのニッチでやっている自覚があったので(笑)、同じように感じてくださる方がいてくれて嬉しいです！今後もよろしくお願いします！ (2018年2月19日 20時) (レス) id: 5d6e515f91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花 | 作成日時：2018年2月8日 21時
