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妹がマフィアを抜けた理由 【太宰 治】 ページ5

〜太宰Sibe〜




私がマフィアを抜けるとAに話したのは、私がマフィアから逃げ出す直前だった。






「A
私は、マフィアを抜ける」







本来の仕事場所とは違う場所に行こうとした私を引き止めた妹に、そう一言。

卑怯だったかもしれない。

正直、妹を騙すことくらい簡単だった。

然し、私は本当の事を話してしまった。

妹に引き止めて欲しかったのだろうか。


当然Aは驚いた。
焦りに身を乗っ取られた様に、冷や汗を流していた。






「……首領にはこう伝えなさい。
“兄がマフィアを裏切った”と
私はAを傷付けたくないから……私が暴れたのでは無く逃げられた、とね」







そう云って私は、Aに背を向けた。

振り帰り際に見たAの顔は、泣きそうになっていた。
それでも私は、構わず歩き出した。

しかし彼女は、厭だと云うように私の背に抱き着いてきたのだ。

彼女は、「行かないで」と涙を流した。







「行かないで……御兄様ぁ…ッ」






Aの細い腕に力が入って、私を引き止める力が強くなっていった。

私の心も締め付けられるようだった。








「御兄様が抜けるなら私も抜けますッ」







やがて、彼女は泣きながらこう云った。

もしかしたら私は、此の言葉を求めていたのかもしれない。


引き止める訳でも無く

一緒に着いてきて欲しかったのかもしれない。


嗚呼、私は何て我儘なんだ。






「……駄目だ、A……
君には、才能も、異能も、幹部候補としての威厳もある

今私とマフィアを抜けるのは勿体ないと云う物で…」

「それでも……!
それでも私は、御兄様に着いていきますッ!!」







欲しかったんだ。

この言葉が。

他の誰でもないAの声で。







「……楽な道ではないよ。
マフィアの連中には、命を狙われる」

「構いません……御兄様に、着いていきます」






私は、何も言わず彼女の頭をくしゃくしゃと撫でた。



__Aには物凄い迷惑を掛けたと思う。

それでも尚Aがまだ私に着いてきてくれると云うのなら






「……ん゛ッ」

「あぁ御兄様、起きましたか」






どうやら私は眠っていたようだ。

……先刻までのは夢か。






「……いつも済まないね、A」

「私は御兄様が大好きですから!一生着いていきます!」







___若しAが、まだ私に着いてきてくれると云うのなら___






___私は____何があっても妹を守るよ……“織田作”___。

いつか手前を…… 【中原 中也】★→←理想主義男といっしょ【国木田 独歩】


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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konoha(プロフ) - 参加して下さりありがとうございます!見に来ました〜!これからも更新頑張って下さい!応援しています! (2016年4月22日 9時) (レス) id: d306aa4c78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のすと | 作成日時:2016年4月12日 23時

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