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16話 ページ17

「…ぃ、おい、A!」


肩を掴まれハッと現実に戻される。ついついあの
時のことを思い出してぼーっとしてしまっていた。


「ったく、全然返事しねぇからよぉ、何かあった
か?」

『いや?ちょっと去年の事思い出してただけだよ、
………場地。』


「?そうか、それよりよォ」


ここ教えてくれ、と場地が指をとんとんとある紙に指
した。彼が指したのは、"あそぶ"の部分でどうやら遊
という字が書きたいようだ。私は場地のペンを取り、
適当にそこらにあったメモ帳に"遊"の字を書いた。
それを見て場地はサンキュ、と言って再び作業に取り
かかった。場地の部屋に現在私はお邪魔中である。


『それ、一虎への手紙?』


「あぁ、もうすぐ出所するからな。これで最後の手紙
になるな。」


『えっ?一虎もうすぐ出るの?』


「おう、そういや言ってなかったな。」


『いやいや、大事なことじゃん。一緒に迎え行こーよ』


何で今まで言ってくれなかったんだという意味を込め
て真剣に手紙を書いている場地を軽く睨む。すると
場地は眉をひそめて私と目を合わせた。


「いや、お前は来るな。」


『は、何で…?場地は行くのに?』


お前はという言い方が、なんか嫌だ。まるで、私だけ
来ちゃいけないみたいな言い方じゃないか。


「俺だって一緒に行きてーよ。でもそれだと、俺がマ
イキーにボコられるんだよ、」


『何で場地がマイキーにボコられなきゃ行けないの?
マイキーが一虎と会いたくないのはわかる、でも私は
関係なくない?一虎の事迎えに行こうが行かないが私
の勝手でしょ?』

てっきり賛成してくれると思っていた為、ついつい強
く言葉を返してしまう。だが場地も折れなかった。


「いや、ダメだ。マイキーには一虎の出所日をお前に
伝えるなって言われてる。お前は絶対に迎えに行くだ
ろうからなぁ、久しぶりに会って一虎にお前を取られ
るのが怖ぇんだろ。だからさ、」


わかってくれよ、と両肩を強く掴まれる。場地の手は
少し震えており、手汗も出ていた。よっぽど私を巻き
込みたくないんだろうか、瞳には絶対に連れていかな
い、という意思が強く滲み出ていた。


『分かった、迎えに行く(・・・・・)のはダメなんだね。』


もう帰るね、と私は場地の手を退け、立ち上がり部屋の
出口へと向かった。ドアノブへと手をかけた時場地が言
った。


「おい、会うんなら、マイキーに絶対バレねぇ様に
しろよ…」


『……うん!』


やっぱり、場地は優しいね

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作者 - ロキロカさん» ありがとうございます泣!読者様からのコメントは作者のモチベに繋がるのでとても嬉しいです! (2021年8月20日 18時) (レス) id: 708145775c (このIDを非表示/違反報告)
ロキロカ - この小説大好きです!これからも更新頑張って下さい(*^o^*) (2021年8月20日 17時) (レス) id: b7f1a55b66 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2021年8月20日 0時

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