11話 ページ12
『なんで…場地』
「おい一虎、幾ら何でもAを連れてくのは無茶だろ、こいつは女だぞ」
私の肩に乗った手を振り解いて場地は一虎から私と距離を取らせた。当の一虎はあまり気にしていないのかポケットに手を突っ込み、OK、と笑う。
「じゃ、決まりな。変装用のヤツ買いにいこーぜ」
クルっと私達に背を向けて一虎が歩き出す。
それを合図に私は小声で場地を呼び止めた。
『場地！分かってるよね？』
その言葉には色々な意味が含まれていた。なんで私に
被せるように言ったの？本当にするの？場地なら一虎
を止めれる、？
すると場地は一瞬顔を顰めて、またニカッと歯を見せて笑った。
「だーいじょうぶだよ！一虎にはちょっとガツンと言っておくからよぉ、お前は、買い物だけついてきてその後は店で待ってろよ。」
未だ不安そうな顔を見せる私に場地は私の頭を撫でた
「そーだよ。大丈夫、何かあったらすぐ逃げる。」
未だに足を上げない私達に一虎が戻ってきて言った。
…違うよ一虎、そういう事じゃないの。
だが一虎に早く行こーぜ、と急かされ私も、場地も、何も言えなかった。
＿＿＿＿＿＿
『ねぇ、本当に行くの？』
「Aは心配しすぎなんだよ、それにもう変装用のやつ買っちゃったし。」
私はずっとこの様な感じだが、場地もさっきから一言
も発しない。そんな様子の私達を一瞥し、一虎は考え込むように上を見上げた。そして、
「…分かった、今日は盗まない。店に入るだけ入って
カスタムとか色々見てさ、そっから先輩が似てるようなの持ってたら譲ってもらえるようにするよ。」
『え、？本当？』
「いいのかよ、一虎！」
焦ったように場地が言う。
「うん、だってこんなにAが言ってるんだもん。それに店に入るだけならまだ良いでしょ？」
『まぁ、うん……』
二つ返事で了承した。店に不法侵入するのも犯罪だが
その時の私は只、"盗み"という言葉に過剰に反応して
いた為、あまり気にならなかった。
場地も、心なしかホッとしている気がする。
「じゃ、行ってくる。A、店で待ってろよ。」
『行ってらっしゃい……場地も、気をつけて。』
「あぁ。」
そして二人は黒のフードを羽織り、暗闇の中へ消えて
行った。
＿＿＿＿
「もっと人を疑わなきゃ、A…」
暗闇の中、一人の少年が誰にも聴こえない声で呟いた
「行くぞ、場地。」
「あぁ、」
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作者 - ロキロカさん» ありがとうございます泣！読者様からのコメントは作者のモチベに繋がるのでとても嬉しいです！ (2021年8月20日 18時) (
レス) id: 708145775c (このIDを非表示/違反報告)
ロキロカ - この小説大好きです！これからも更新頑張って下さい(*^o^*) (2021年8月20日 17時) (レス) id: b7f1a55b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年8月20日 0時
